050 シリアスな時にボケるとKY
カコン
温泉による被害を免れ、石段のちょっと上の方にある鹿おどしが、竹筒の中にたまった水を落とし心地よい音を鳴らす。 ザァァァァと木々が風に揺れ、少しばかり葉を散らす。
今日はいつもより風が強いな、洗濯物飛ばされてないかなアレ。スカートのポケットの中にガムが入ってんだよね。 つーか洗濯した時点でもうガムは水浸しになっているのではないだろうか、くそっ…無事でいてくれよ。マイ・スウィート・ガァァァァム!!
と、そんなことを心の中で思いながらも、私は前に居る二人に目を向ける。 彼女達はコクリと頷き合い、口を開いた。
「ボンゴレリング―それはマフィアボンゴレの幹部、ボスの正統後継者の証として代々受け継がれているものです。」
『…マフィア、ねぇ』
なんかマフィンみたいな名前だよね、マフィアって。 ボンゴレマフィン?……あんまおいしくなさそう。
「初代ボンゴレファミリーの中核だった七人がファミリーである証として後世に残したもの。そしてファミリーは代々必ず七人の中心メンバーが七つのリングを受け継ぐ掟となっております。」
おいおい、そういやヒバリがなんか指輪が届いたとかほざいてたな。 まさかボンゴレに入っちゃった的な?あらら…ザマァ!!
「そしてまたボンゴレであってボンゴレないもの―その名を門外顧問。」 「平常時には部外者でありながら、非常時においてボスに次ぐ権限を発動できるbQ」
なんだそれ、ちょっとずるいな。
「後継者選びにおいて、ボスと門外顧問は対等の決定権を持っています。」 「対となる二つが揃って、初めて後継者の証となるリング。二つに分割したものをハーフボンゴレリングと呼ばれています。」 「それらを後継者に授ける権限が、ボスと門外顧問にはあるのです。」
…ごめん、早口すぎてよくわかんない。
まあよくそんな打ち合わせをしてきたかのように、ペラペラペラペラ。 よく呂律が回るよなと感心してしまう。 二人とも息継ぎしてたの、アレ。してなかったよ!!
「つきましては巫女様も十日後の決戦の日に審判(ジャッジ)として出席して頂きますので、あしからず。」
話し合いは終わった、とでも言うように彼女達は立ち上がる。
『うおい!!ちょっとまて、何で今の話の流れでそーなるの?!何で決戦することになってんの?!今ボンゴレリングの説明しかしてなかったじゃん!!あと何よ、あしからずって』
「…すべては決まっていた事ですので。」
…?
そう言い残して彼女達―チェルベッロは庭に出て、シュッと消えてしまった。 …はっ?消えた?!
『オイゴルァ!!てめーらちゃんと正面から出ていけやぁぁぁ!!』
やっぱり不法侵入は許せない…やっぱ美人さんだったから許しちゃう!! ヒバリは…アレだよ、もういいや。
並盛ちひろはレベルが上がった!! あきらめの境地に達した!!経験値が24,536増えた!!新技、スル―スキル強を発動した!! ちひろは悟った!!
…RPG、そろそろ控えようかな。
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