041 最近“疲れてる”と“だるい”しか言ってないような気がする。
真っ白な空間。
真っ白な景色。
何にもない、そんなところに気がつけば私は立っていた。
『…チョコレートのアレは夢だったんか…』
妙にスッキリと冴えまくっている頭をコンコンッと叩いてみる。 …中身はちゃんと詰まってるからな!!コンコンなんて音はしないんだぞ本当は!! あくまで一つの比喩表現として…あれ、比喩ってなんだっけ?
頭さえてないじゃん。
まあいいや、と私はもう一度辺りを見回す。
…なんでMEはこんなところに居るんだい? 首をひねってみるが、わかるはずもなく。
普段あまり使っていない体の部位をフル回転させているので、オーバーヒートを起こしてしまったようだ。 何で何でと考えるエネルギーが、ろくどー・P・なぽーへの怒りへと変わっていくのを感じていた。
『ちくしょーパインみたいな頭をしやがって…そういえばチキンって例えるならどんな髪型なんだろう?あの丸い形は…んーミカンっぽいな。ナポーにミカン…これ、アレじゃね?フルーツポンチに入れる材料じゃない?二人、いや二つとも』
ププップッと想像してみただけでも吹きだしてしまう。 絶対あいつら、ソーダの中で溺れてるぜ!!
『ギャッハハァハハハハ!!これはやばい!!マジでつぼった!!』
腹筋が崩壊するんじゃないかってくらい、笑い転げる私。
ゴロゴロゴロゴロ転がっていけば、ピチャリと水の跳ねる音。
…は?水?
ガバッと勢いよく半身を上げれば、薄くだが何もなかったはずの空間に透明…いや、かすかに青、水色といった色のついた水のようなものが足元にたまっていく。 不思議と、冷たくはない。
『おいおい、チョコレートの次は水ですか…この前の海といい、どうして溺れるようなもんに縁があるのかねぇ。』
その水をすくってみれば、瞬く間にそれは指と指の隙間から零れおち、キラリと光を反射させる。 …なかなか綺麗だね!!神秘的だよこれ!!神秘って書いてスピリチュアルって読むやつだよコレ。
“それは、貴様の覚悟”
『?』
パシャリ、と水がはねて、いつの間にやら近づいてきたそれを私は見上げる。
『……鹿?』
全身が、それこそ水でできたような色をしたそれは、私をじっと見下ろしていた。
……鹿鍋ってあったっけ?
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