040 世の中大事なものはやっぱり金?それとも…
「第三の道…畜生道は人を死に至らしめる生物の召喚。さあ、生徒の命の危機ですよ、いいんですか?」
武器を構えて前を見据えながら、彼―六道骸は口角を上げた。
とりあえず、ソファーの上に居るちひろは力を使い果たしたのか、意識を失って(というより寝て)しまったので、ボンゴレ十代目を先に乗っ取ろうと考えたのである。
「ひいぃ!!やあ!助けて!!」
情けなさそうに悲鳴を上げるツナ。 その体には骸のスキルによって召喚された毒蛇が、体中に群がっていた。
「あんまり図に乗んなよ骸。オレは超一流の家庭教師だぞ」
リボーンがそういった瞬間、部屋の中で自分だけに向けられている殺気を感じ取った骸は、ギュルルルルと音を立てて飛んでくる何かを武器ではじき返した。
「十代目!!伏せてください!!」
彼が油断したその隙に、ツナの周りにいた蛇を焼き尽くすかのような爆発がすさまじいほどの音と熱が辺りに巻き起こる。 その煙から現れたのは――
「遅くなりました」
「ヒバリさん!!獄寺くん!!」
なんともまあ珍しい、ヒバリが獄寺を支えながら歩いている。
「ふ、二人とも…」
自分を助けてくれた、と目元に涙を浮かべるツナ。
「わかったか骸。」
その様子を迷惑そうに見ている彼に、リボーンがドヤ顔をした。
「オレはツナだけを育ててるわけじゃねーんだぞ」
が、群れることを嫌うヒバリは仲間とつるむわけもなく。
「借りは返したよ。」「いでっ」
ポイッと獄寺を捨てるようにして、自分から切り離した。
「これはこれは、外野がゾロゾロと」
そういった瞬間、骸は部屋中に一気に膨れ上がった殺気を感じた。
ピリピリと皮膚に突き刺さるような程度では、ない。 気を抜けば、こちら側が怖気づいてしまうような。本物の死闘を演じる時の緊迫感。 フラフラとよろめきながら、投げたトンファーを拾いに行く、今は少し頼りなさげな姿だが間違いなくその雰囲気を醸し出しているのは、彼―雲雀恭弥。
―いったい何が…まさか。
「あの子をここに連れてきたのは、君?」
ヒバリの視線の先にある人物。 体力を使い果たし寝てはいるものの、実力は自分よりも更に上に行くであろうと見込まれる彼女―
「まあいいさ、ちひろに手を出した時点で、もう君は僕に咬み殺されるから――」
多分、目の前にいる彼の、とても大切なもの――
チャキッと武器を構えた。
「覚悟は、いいかい?」
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