039 凶っていう文字を使うと中二っぽい。
「…“水色の、闘気(オーラ)?”」
ボンゴレとその家庭教師であるというアルコバレーノを見定めている途中、自分の下にいるまるで僕とソファーのサンドイッチになっているような態勢の彼女の体から、自分が人間道になった時のように纏う、オーラのようなものが見えた。
しかし、人間道は僕にしか使えない能力のはず…
第一の道、地獄道により精神世界でチョコレートの悪夢を見ている並盛・C・バ…ちひろ。
完全に精神は僕に操られているのにもかかわらず、彼女は時々意識がこちら側に戻ってきている。
オーラを放出しながら戦う戦士のタイプは放たれるその大きさが、即ち強さ。
もし彼女が僕と同じ種類の人間だとしたら、その闘気によって地獄道を破るということも不可能ではない。
「だが、そんな事をすれば――」
体力はすぐ消耗し、自らの精神世界を破るということ、それは即ち自我を保つための場所を、自分で崩壊への道へと導くようなもの。 そんな危ない橋を、彼女はもう何度も渡っているのだった。
…バカなことを。
意識が戻っていくたびに、放たれるオーラが少なくなってきている。
最初の方は、このホールを覆うほどだったのが、今では僕の放つオーラよりも少なく、申し訳ない程度に彼女を薄く覆うくらいでしかなくなっていた。
武器で対峙した時は、彼女の力量と僕とはほぼ互角。 しかし、放たれたオーラは今の僕とはまるで格が違う。
もしも今の彼女がそれを無意識ではなく、コントロールできていて十分に力を発揮できていたのなら。
自分はひとたまりもなかった――
骸の額に、冷や汗が伝う。
「これは、僕の強運…いえ凶運と言ったところですかねぇ。」
ただ、それしか言いようがない。 運がよかったのだ。
下の方で、うわっ中二くさっ等という声が聞こえたが体力の底が尽きてしまったのか、そこで彼女は意識を失ってしまう。
「クフフフフフ、さぁどうします?ボンゴレ十代目。」
―――それに、並盛・C・ちひろ――
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