018 雪が降るとなんかテンションが上がる
鉛色の空から真っ白でまるで綿菓子のような粉雪が、フワリ、フワリと舞い降りていく。 昨日までは土色だった学校のグラウンドも、今は白一色に覆われて幻想的な白銀の世界を作り上げていた。 ハァ、と吐息をもらせば雪と同じように白くなり、私はかじかんだ自分の手をそっと温めた。
さて、ここで一つ問題。
Qなぜ、私は日曜日なのに制服を着て、学校に登校し応接室にいるのでしょうか?
ピコン!!ハイ、ヒバリさん。お答えをどうぞ!!
「A、それはちひろの頭が悪いから」 『ハイ、珍回答ありがとうございましたー。質問と回答が全くかみ合っていませんでしたねー』 「そうだね、日曜日を月曜日を間違えるのは、頭を動かしている歯車がかみ合っていない証拠だよ。僕は今すぐ脳外科に行くことをお勧めする。」 『…ち、違うんだ!!私はただ忘れていただけなんだ!!今日が日曜だという事を!!』 「ワォ、更年期かい?」
…最近、ヒバリは人の心を突き刺すような言葉を、ペラペラと喋るようになった。 なんて嘆かわしいことだ!!私はそんな子に育てた覚えはないわ!! 「僕もちひろに育てられた覚えもないけどね、どっちかって言うと僕がちひろを育ててるみたいな」 『だまれチキン』
『そうだ、どーせ休みなら外で雪も降って積もったし、かまくら作りたい!!』 「子供かい?…ダメだよ、風紀の仕事がたまってる。ちひろにも手伝ってもらうから。」
大体こんな寒い中、なんで外に行かなくちゃならないのさ、とヒバリはハンコと大量の書類を渡してきた。 けっ、これだからインドア派の坊ちゃんは…人使いの荒い奴だ。 すると、まんま声に出していたのかヒバリは私を見てため息をついた。
「ハンコ押すだけでしょ。むしろ、ちひろにはそれしか頼めない。」 『どういう意味だゴルァ!!』 手に取った書類をバンッとヒバリの机の上に、叩きつける。
ドッガァァァァァァン!!!!
……爆発音が、した。
『……おい、何だその目は。違うからね!!今のは私じゃないからね!!だって外から音がしたもの!!』 「いや、ちひろならやりかねないかなって。君が起こした応接室の机の超震動波が地表を伝わって外の地殻エネルギーが爆発!!みたいな。」 『何その無駄な設定。超震動波って何だよ!!』
慌てて音のしたグラウンドを見るべく窓を開けると、モクモクと灰色の煙が流れ込み、むせた瞬間に手から何かが滑り落ちた。
『あ――!!ハンコ落としちったぜ!!』 「今すぐ拾ってきてよ…校庭の爆発は誰がやったんだい?」
まあ、いつもの草食動物達なんだろうけど、とヒバリは付け加え窓の方へ、私と一緒に身を乗り出した。
『あらら、みんな雪合戦してるー!!…あり、見かけない面子が結構いるな。あっ!!ダメツナだ!!』 「やっぱり…ちひろ、ハンコついでに咬み殺しに行くよ。暖かい格好して」 『OK、かまくら作っていいんだね!!ありがとうヒバリン』 「………。」
無言ってことは承諾したってことだよね。呆れてものも言えないって事じゃないんだよね!!
やったぜ、かまくらの中でコタツに入って蜜柑を食べるのが夢だったんだ。ひゃっふい!!
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