復活 | ナノ




 
 
 
095 常日頃人間観察を心がけましょう!!



『それじゃーいってらっしゃーい』

身支度を整えたヒバリを地上まで見送ろうとしている私は、なんてカインドなんだろう。心の広さが宇宙イズフォーエバーだね。

ひらひらと私が特別に結ってやったネクタイが風に吹かれ、なびく。揺れる。…ぷーくす!!!


「…いいかい、ちひろはついてこないでね」

『オイこら、余計な詮索をするんじゃねェ。私が素直に見送りをしてやってるっつーことは、もうテメーとはこれっきりっつー話だ。少しは察しろよ、空気読めない照り焼きバーガー、略してバカだ』


いや、それにしてもホントにネクタイがいい感じに泳いで…鯉のぼりみたいですねプププッ。


「ふうん、珍しいね。十年前の約束を破ることになるけど、それでいいのかい?」

『そりゃぁテメェも一緒だろうが、まぁ今の私が行ったところで炎のガス欠で使えねェ。約束は……アレだ、並盛ん中だったらいいぜ、みたいな。』


随分と適当だね、と彼は軽くため息をつく。
私はスッといつもよりも背の高いヒバリに左手を差し出した。


「?どうしたんだい?」

『多分な、今のヒバリとはこれで会うのも最後になるんだろうなーって思ってさ。ホラ、だから握手ぐらいさせろよ。私とヒバリの仲だろ、微生物位の寂しさはあるんだよ。』


…有名人か何かと勘違いするなよ、チキン。

すると、ふいにヒバリが二、三歩歩み寄って、私を思いっきり自分の方へと引き寄せた。
ぎゅううっと自分を、私を押し付けるかのように、強く強く。

ちょ、痛い痛い、あんたの握力半端ないんだから、手加減しろよコノヤロウ。
それでも、少し心もとない気持ちが埋まるような気がして、背中に手を回そうとすると一言。


「…弾力がない」


―――少し低い大人ヒバリンの声が、耳元で囁かれる。


ちくしょう、力を込めていたのはそういう事だったのか。


次の瞬間、私はオリジナルのまき方で頭部に巻いてやった紫色のネクタイをその場で引っ張り、そのままアジトの外に蹴り出してやった。


『いってらっしゃい、ヒバリ』

またね、は言わなかった。

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