「反省終了ぉおおー!」
握りこぶしを作り、音もなく立ち上がったレイアは、唇を引き上げて仲間達のところへ戻ろうとした。
うずくまるように座っていた時は、確かに眉を寄せて悲しげな表情を見せていたが、今はその表情も見えなくなっている。
「わっ、びっくりした」
いつの間にか近づいていたのか、レイアのすぐ傍にはジュードの姿があった。
突然立ち上がったレイアに、ジュードは彼女のよく知る驚いた顔をしていた。
「あれ、ジュード……どうしたの?」
「……ちょっと気になって」
バツが悪そうに視線を反らしたのは、照れくさいからか。
レイアはそれに気づいて、口を紡ぐ。彼の優しさは嬉しいけれど、少し苦しく思う時がある。
レイア自身の弱さが露見した時は、特にそう。
「あんまり気にしなくていいよ、レイア」
「……うん、わかってる」
「……そう」
「大丈夫だよ、ジュード。……私なら大丈夫」
(失敗しても、どんなに辛くても、また立ち上がれるよ……)
だからそんなに構わなくても大丈夫だと、レイアは精一杯の笑顔を浮かべ続ける。
そんなレイアの顔を見て、ジュードは不安げな顔を向けた。己の心情がそのまま顔に出てしまうレイアに、隠し事は向かない。例えどんなに上手く隠したとしても、一緒にいることが長かったジュードにとっては、無意味と言えよう。
「……空元気」
「……うん。でも、空元気だって元気の一つだよ」
指摘された言葉もうやむやにするように混ぜ込んで、レイアはジュードの元から走り去る。
ようやく形になった気持ちを固めて、迷いを振り切るように強張った頬を軽く叩く。加減を誤り、少しだけ頬が痛かったものの、気分は徐々に晴れていく。前方にはジュードを除く仲間達の姿。それを目指し、無理やり笑顔を作りながら、レイアはミラ達のところまで駆けていった。
見え透いた虚勢
(手に入らないものを嘆くのは、己の弱さの現われか。
それでも欲してしまうのは人ゆえの咎である。)