06.濡れた服越しの体温 | ナノ



「さぁコダック!始めるわよ?」

「コパァ!?」

「あ、コラ!逃げるなっ!」


今日はハナダジムの貴重な休日。バタバタとコダックを追いかけているのはハナダのジムリーダーで、オレにとってかけがえのない大切な恋人。

そしてこんなごく普通の日常のひとコマが、オレは何よりも好きだったりする。


「も〜!コダックー!」

「ピカチュピ!」

「ピカチュウありがとう!挟み打ちしましょ!」


相棒は元気よく彼女の助っ人となり、コダックはさらに必死に逃げまどっている。


今日も平和だなー。なんてオレが観客席からその光景を眺めていると、コダックがふいに唸り出した。


「お?」


これにはオレも不思議に思い、少しだけ身をのりだす。


「コパァ!」


苦し紛れにコダックが出した反撃は………。


「ピカ!?」

「え!?きゃあっ!」



―――バッシャーン!―――



「ピカチュウ!カスミ!」



追ってくるピカチュウとカスミ目掛けてのたいあたりだった―…。











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「大丈夫か!?」


慌てて駆け寄れば、ピカチュウを抱えたカスミが顔を出した。


「あたしは平気よ。水の中は慣れっこだから。ピカチュウは大丈夫?」

「ピカ!」


どうやらピカチュウも大丈夫なようだ。ぴょんっとプールサイドに上がり水を弾いている。


「はぁ〜……。今日も失敗ね」


ぱたぱたと奥に逃げていくコダックを見ながら、カスミはがっくしとうなだれ、ため息をついた。


「今度はオレも手伝うからさ」


手を差し出してカスミを引き上げ、じっとカスミを見つめてみる。


「…サトシ?」

「や、綺麗だなーと思って」


キラキラと輝く雫が、カスミをより魅力的にしている。…カスミほど水が似合う奴なんているのだろうか。それは、いつかカスミが水に呑まれてしまうのではないかと不安に思うくらい。


「え…?……え!?」


かあっと赤くなったカスミにくすくすと笑えば、今度はむすっとした表情でオレを睨んでる……つもりなんだろう。


「バカ……」

「バカでもいいさ」


こんなにも…自分がはまってしまうとは。


―――昔のオレは考えてなかっただろうな…。


「きゃっ…!」


カスミが驚くのも構わず、ぎゅっと抱きしめた。


「サトシ…?」


誰にも…たとえ水相手にも渡したくない。いや、渡さない。

この腕の中の温もりを確かめるように、抱き締める腕に力を込めた。








濡れた服越しの体温

譲れないんだ、誰にも






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久々!(笑)二十歳シリーズです。
今回はサトシさんの独占欲(?)をメインにしてみました!←
サトシはかなり独占欲が強いと思います。たとえ相手が水だとしても。
いや、水だからこそ?
我が家のサトシは水が一番の敵かもしれません(笑)

読んで下さってありがとうございます!

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