幸せは無限大!∞ | ナノ



ここはマサラタウン。

人呼んで、カントーの始まりの町。




そして、今日は―…。











「バリちゃ〜ん!お庭のお掃除お願いね〜」

「バリバリッ♪」


いつも率先して家事をこなしてくれるバリちゃん。おかげで私は助かっているし、何の申し分もないわ。

……それでも、今日はバリちゃんさえも大慌て。



「ふふっ♪」



今日は、愛しい愛しい息子夫婦が遊びに来てくれるから―…。





「バリ〜!」

「あら、もう終わったのね。さすがバリちゃんだわ〜!お料理も出来上がったし、後は到着を待つだけね♪」



嬉しくって上機嫌になってしまうのは仕方ないでしょう?








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「親バカかしらね……」


到着の予定時間より早いけれど、そわそわして待ち切れない。それはどうやらバリちゃんも同じらしく、私たちは外でお出迎えをすることにした。





「おや、サトシのママさん!どうしたんじゃ?」

「あら、オーキド博士じゃないですか!」


そこに現れたのは自転車に乗ったオーキド博士。今日も博士はポケモン達の調査に行っていたのかしら?


「今日はサトシ達が遊びに来てくれるんですよ」

「おお!そういえばサトシがマサラに来るとケンジが言っておったな」

「ええ。もう朝から張り切っちゃって」

「幸せそうで何よりじゃ!では、わしは研究所に戻るとするかの」

「はい。ケンジくんたちにもよろしく伝えてくださいな」

「では。……お、そうじゃ!」

「?」


博士はペダルを漕ぐ足を止め、私達の方を振り替えった。


「サトシたちに、わしらからもおめでとうと伝えておいてくれんかの」

「―……!」



サトシ―…。

あなたはやっぱりたくさんの人に愛され、支えられて生きているのね。





「必ず伝えておきますわ!」









やっぱりあなたは、私の自慢の息子よ!

















「おばあちゃ〜ん!」






博士が去った後、元気な声が聞こえて来た。

声の方を見遣ると、向こう側からピカチュウと一緒に一生懸命走ってくるのは、大切な小さな命―…。






「おばあちゃん!バリちゃん!ただいまっ!」

「ピカチュ!」


「ナノカちゃん、ピカチュウ、おかえりなさい!」

「バリ〜!」



勢いよく飛び込んできたかわいい孫を抱き止める。


「えへへ〜!パパたちおいてきちゃった」


太陽のように明るく笑う笑顔には、両親の面影が溢れている。




「ナノカ!お前いきなり走ったらびっくりするだろ?」


ナノカちゃんから少し遅れて、サトシとカスミちゃんがやってきた。

サトシはカスミちゃんをしっかりと気遣っていて、鈍感だと言われていた時代がなんだか懐かしく思えてしまう。


「母さん、ただいま」

「ママさん、ただいまです」


「二人ともおかえりなさい!そして―…」



カスミちゃんに一歩歩み寄って、腕の中の新しい命に笑いかける。



「いらっしゃいカイトくん!ここがあなたのもう一つのお家よ」










―――『母さんのいるマサラの家がオレの故郷なんだ。それは結婚してハナダに住んだって変わらないよ』



―――『あたしも……ただいまって言いながらマサラの家に帰って来てもいいですか?』



―――『おばあちゃん!ただいまっ!』











「お!カイトが笑ったぞ」

「きっとママさんにただいまって言ってるのよね〜?」

「カイトすご〜いっ!」

「ピカ!」



くすっとバリちゃんと顔を見合わせる。


きっと考えていることは同じよね?





「カイトくん、おかえりなさい!」








どうか、こんなかけがえのない幸せがいつまでも続きますように!











幸せは無限大∞!

(ごちそうをたくさん用意して待ってたのよ)

(よっしゃ!もうオレ腹ぺこだぜ!)

(も〜!パパったらぁ!)

(ふふっ、パパはいつまでたってもおこちゃまね〜?)





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ボギーさんリク「familia設定でのサトシ一家の帰省をハナコさん目線で」でした!
familiaのリクということで、あまりの嬉しさにリクを頂いた当日に書き上げてしまいました(笑)
familiaの穏やかな雰囲気が少しでも伝わればなと思っています。
素敵なリクエストをありがとうございました!

読んでくださってありがとうございました!
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