全力少年 | ナノ



「今日の練習はバッチリだったね!ポッチャマ」

「ポチャ!」

「おかえりヒカリ。ポッチャマもお疲れ様」

「ありがとうタケシ!…あれ?サトシはまだテレビ見てるの?」

「ああ。いますっげーいいとこなんだ!」

「そうなんだ!」


今サトシが見ているのは、ジョウト地方で行われている大会。なんでもこの大会は炎タイプだけによる大会らしいの。


「「「…あ!」」」


決勝戦が終わり、優勝者が決まったみたい。彼は自分のポケモンに抱き着いていて、喜びがこっちにまで伝わってきた。


「すごかったね!」

「ああ!」

「なぁサトシ…この人どこかで見覚えがないか?」

「……オレも思ってた」


以前ジョウトを旅していたサトシたちは、なんだかこの人に見覚えがあるみたい。

サトシたちが首を捻っている間に、画面の向こうでは優勝者のインタビューに切り替わっていた。


『この勝利を誰に届けたいですか?』


アナウンサーの問いに、その人は少し照れたように鼻をかいて、満面の笑みで答えた。


『これから、カントー・ハナダジムに居る恋人に優勝を捧げに行きます!』


「え!?」

「お?」


「は………はあぁぁぁぁあ!?」



画面の人の口から出た思わぬ事実に、わたしたちは驚くしかなかった。

…サトシなんて、発狂してる。









「カスミって恋人がいたの?」

「いや…俺は知らないぞ」

「え?それっておかしくない?」

「タッ…タ、タケシ!オレちょっと電話してくる!」


そう言って、サトシはダッシュで電話の方へかけていった。








「ねぇ…サトシはなんで自覚してないの?」

「…まぁ、サトシだからだろ」









=====






―プルルルル…―


『はい、ハナダ…』

「カスミ!?」

『わっ!…あれ?サトシじゃないか!久しぶり!』

「…ケンジ!」


電話の画面に写ったのはカスミではなくケンジだった。


「ケンジ!カスミに恋人って…!」

『え?恋人って…もしかして、サトシも大会を観てた?』

「ああ!誰だよあいつ!恋人って…!」

『ちょ…ちょっと待ってよサトシ!』


ケンジはオレを落ち着かせるために一呼吸おいて話始めた。


『あの人はヤケイシくんって人だよ。確かジョウトの旅でサトシたちとも出会ってるはずだけど』

「じゃあ…!」

『だから落ち着いてよ!カスミに恋人はいないよ。あのコメントを聞いて一番驚いていたのはカスミなんだから!』

「………そっか」

『でも僕も驚いたよ。まさかサトシが反応してくるなんてね』

「それより!…カスミは?」

『ヤケイシくんを返り討ちにする、ってジムで調整してるよ』


微かだけどギャラドスの声が聞こえることから、ケンジの言うことはどうやら本当らしい。



――あいつ…カスミに会いに行くんだよな。



「ケンジ!」

『ん?』

「今から行くから、オレの炎タイプのポケモンをハナダに呼んどいて!」

『え、今から!?』

「じゃあよろしくな!」


「「ストーップ!!」」


電話を切ろうとしたその時、ヒカリとタケシが入り込んできた。


「な、何だよ!」

「サトシってば、ちゃんとインタビュー聞かなきゃ!」

「へ?」

「ヤケイシくんはカスミを心の恋人と思って特訓に励んでいたそうだ」

「だからオレが今から…!」

「もう、最後まで聞いてよっ!」

「〜…っ!だからなんだよ!?」

「カスミを想って特訓に励んだおかげで強くなれたから、だからカスミにお礼を言いにハナダに向かうって言ってたの!」







・・・。






「な、なんだよ〜…」

『サトシ、カスミのことは僕に任せてよ!サトシが帰ってくるまでしっかり守っておくからさ!』

「あ……、い、いや!その、オ、オレは―…」

「頼んだぞ、ケンジ」

「サトシはわたしたちがしっかり強くするから!」

『やっぱり僕たちがしっかりしないとね!』



うんうんと頷き合っている3人に、オレは頭が痛くなってきた。



「でも……ま、誰にも譲る気はないしな」



あいつの隣は、いつだって―……な?








全力少年

それがオレのスタイルだろ?






______

なんだか久々な更新な気がします。
ボギーさん、長らくお待たせしてしまってすみません(><;)
結局ヤケイシくんの回を見直せずじまいで…←
カスミの出番もなくて、うぅ……;
リクエストに沿えていなくてすみません(泣)
でもとても楽しかったです!
素敵なリクエストありがとうございました!


×
「#オメガバース」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -