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☆地獄にて〜松永久秀〜(BASARA/戦国/切)

「まつ…なが、さん…」

目の前で、今にも消えそうな命の灯火。
横たわるその姿に違和感しか覚えない。これは果たして現実?それともいつもの私へのからかいなのだろうか?

「悪趣味、極まりないですよ…」

いつも通りに嫌味満載で放ったはずの言葉は震えている。

「卿はやはり面白い。このような場でも私に嫌味を言ってくるとは。

しかし最期の時を卿と過ごすとは、いやはや愉悦愉悦」

「さ、最後って!ふ、ふざけないで」
「至極真面目なのだがね。卿は私は死なないとでも?
よもや不老不死の物の怪とでも思っていたのかね。」

ある意味思っていましたと呟けば、不意に伸ばされた手が頬に触れ指先が眦をなぞる。

「泣きながらの嫌味とはいただけない。卿に涙など似合わぬよ。」

「な、泣いてなんかっ!」

ふいと顔を背ければ、触れていた手が力なく落ちる。

「あ!ごめんな」
「卿が謝る必要はない。」

慌てて手を伸ばせば捕らわれた指先。

「畳の上で、ましてや卿の傍で最期を迎えるとはこの久秀一生の不覚。地獄で魔王に見(まみ)えた時にどのような嫌味を言われるものか…」

やれやれとばかりに久秀の顔が歪む。

「地獄行きは決定なんですね。」

思わず笑ってしまう。

「やはり卿は笑った顔が一番ましだ。」

「ましって、よくもまあいけしゃあしゃあと!」

ああ、いつもの松永さんだと嬉しくなった。

「私としては最高の賛辞を与えたつもりなのだが…」

「はいはい、有り難き幸せでございます。
是非ともこの先も賛辞をお与え下さいませ。」

軽口を叩けば捕らわれた指先に力がこもった。

「この先など無いのだよ。
卿は私になど囚われず他の」
「囚われてなんかいません!私は私の思うままにしますから!」

忘れてしまえと言わんばかりの言葉に不覚にも涙が止まらない。ぼろぼろと零れ落ちる涙が久秀の手を濡らす。

「死など些末な事と思っていたのだが……
ならば卿に最後の呪縛を。

この久秀を、生涯忘れずにいられるかね?地獄で待っている…」


離れてゆく手と共に閉じられてゆく瞳。
もう二度と開かぬ唇へと口付けた。


「私も地獄行きなんだ」


くつりと笑いその場で大きく息を吸った。



―忘れられる訳ないでしょ。
もしも皆が松永さんを忘れても、私はずっとずっと忘れない。二度目の死は訪れさせないから―




〜あとがき〜

何故の松永さん?
って、それは中の人の訃報に大ショックで……
沢山のお声をされてましたが松永さんが頭に浮かびました。
このお話のように私も生涯忘れないって思ってます。
記憶の中、死は訪れませんから。

2020.4.19
拍手有難うございますm(_ _)m
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