玉狛第一

「レイジさん、とりまる、はいこれ栞とあたしから」

「ああ、今日はバレンタインか」

「どーもありがとうございます」

「いえいえ、どういたしまして。今年は小南と二人で手作りしたんだよ」

「そーよ、有り難く食べなさい!」

「え」

「え」

「何よ妙な顔して」

「宇佐美は兎も角、小南、お前はいつもスーパーで買ってくるのに一体どういう風の吹き回しだ」

「今年は本部の人にも配る予定だったから個別で買うより二人で大量生産した方が安上がりだったんだよねー?」

「あー、そういう事ですか」

「なるほどな」

「それにしても小南先輩の手作りなんて聞いたら受け取ってくれる勇気のある人なんて結構限られてきませんか?」

「はぁ?!アンタ本当に失礼ね!」

「チョコレート触る時に手を洗ったか?髪の毛入らないように結んだのか?途中で何か変なもの入れなかったろうな?」

「そんな事してないわよ!」

「レイジさん、いくら小南でもそんな事しないよ。それに私も材料も作る工程もチェックしたからその点は安心して大丈夫だよ」

「そうか、それなら安心だな」

「ですね」

「普通にむかつく」

「それじゃあ二人とも早速食べてみてくれない?このぼんち揚げチョコレート、味見とか全くしてないからちょっと気になってて」

「え」
(宇佐美先輩、それ全く安心出来ないんですけど)

「え」
(ぼんち揚げにチョコレートかけるなよ。味見ぐらいしとけよ)

「最初は迅のヤツにも渡すつもりだったんだけど、特別任務があるらしくてどっか行っちゃったんだよね」

「…………」
(迅さん逃げたな)

「…………」
(出たなサイドエフェクトの無駄遣い)
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