荒船隊
「加賀美?お前それ一体何を運んでんだよ?」

「……よいしょっと。あぁ荒船くん達!みんな模擬戦やってたんだよね?お疲れ様!」

「加賀美先輩もお疲れ様です。あのー、それどう見ても笹っすよね?」

「本当だ。何で笹?!」

「嘘、穂刈くん分からないの?それじゃあヒント、明日は何の日でしょうか?」

「ああ、もしかして七夕すか?」

「半崎くん大正解!」

「そうか明日は七月七日か。……で、加賀美はその笹を何処に持って行く気なんだ?方向的にこっちにあるのはもしかして、」

「え?勿論、荒船隊の作戦室だよ。当たり前でしょう?」

「作戦室のスペース的に……邪魔じゃないっすか?(絶対邪魔だろ)」

「っ!(半崎っ!よく言った!えらい!)」

「ったく……置いてもいいが笹なんて何に使うんだよ。そんなもん(加賀美のやつまぁた変な創作意欲刺激されてねーといいが)」

「荒船?!いいのかよ?!」

「笹といったら七夕飾りでしょう?近所の人に立派な笹を貰っちゃったから持って来ちゃった。これなら立派な七夕飾り作れるよ!さぁ早速、荒船隊全員で立派な七夕飾りを作ろう!飾りに使えそうなものは全部作戦室に揃えてあるからね!任せて!」

「あの七夕なんて幼稚園とか小学生までじゃないですか?流石に……高校生になってまでは(そんなん絶対やるのダルいすよね?穂苅先輩)」

「そうだよな?!あれはさ、ちびっ子がメインのイベントじゃねーのかな?(頼む荒船!上手く断れ!)」

「えー?まさか今迄の七夕にみんな願い事してないの?!織姫と彦星が逢えますように!とか美大に入れますように!とかあのカラフルな短冊に書かなかった?!」

「してねーよ。七夕飾りとか短冊ってアレだろ?自分の願望を書いて他の奴にこっそり盗み見見られて暴露される恐怖イベント」

「あ、荒船先輩?(過去に何があったんすか。何を暴露されたんすか)」

「作戦室なら私達以外にそうそう入ることないんだから大丈夫だよ!ねぇ、いいでしょう?こんな大きい笹、私達自ら飾らない手はないって!今回だけだからお願いっ!ねっ!?」

「ったく、今日は俺らの隊は夜から防衛任務あんだから付き合うのはそれまでだぞ?それから、加賀美あんま凝り過ぎたモンは作んなよ?あと傑作だから捨てられないとか言うなよ?」

「うん!」

「仕方ねぇな。半崎、笹はお前が隊室まで持ってやれ(荒船は押しに弱ぇな……まぁ俺たち全員そうか)」

「分かりましたよ穂刈先輩。加賀美先輩、オレ持ちますよ(あーあ、結局これだよ)」




「半崎くん凄い良いセンスしてる!上手じゃない!それとっても綺麗ね!」

「そうっすか?」

「荒船、お前はそれ何作ってんだよ?」

「これか?これはイーグレットをイメージした飾りだ。それと、こっちはアイビスイメージした奴」

「へ、へぇ(頭いい奴の考えが全く理解出来ねぇー!何だかんだ半崎も楽しそうに作ってやがるし!)」

「穂刈くん、手が止まってるよ?もしかして折り紙足りない?それとも短冊もっと書く?荒船くん達も色々書いてるし」

「お、おう(俺も諦めて何か作るか……つーか加賀美ってよくイラストに描かれる織姫みたいな髪型してんなー。今気が付いた)」

「………ふふっ(みんな結構楽しそうに作業してるわね!良かった!)私ももう一つ飾り作ろうかなー?」

「また?!加賀美先輩は作り過ぎっすよ」

「括り付ける枝が足らなくね?!」

「そんなの後から増やせばいいのよ穂苅くん」

「また枝を増やすの?!」

「おいおい。七夕飾りがいつの間にかツリーみたいになってんだけど」

「荒船くんナイスアイディア!半崎くん、電飾持って来て!」

「え?本気ですか?(この七夕飾り本当に派手過ぎ。ま、いっか)」

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