鈴鳴第一(来馬隊)
「さっきから鋼は何をそんなに一生懸命に窓の外見てるの?何か変わったものでも見えた?」

「来馬先輩……。雨、結構降ってきましたよね?今朝家を出た時には全然降ってなかったのに」

「今日からもう各地で梅雨入りしたって天気予報で言ってたよ。でも確かに今年は去年より梅雨に入るのが随分と早い気がするな」

「それならしばらくは雨が続きますかね?」

「そうだね。全員傘は持って来たかな?これだけ降ってると雨に濡れて風邪を引くかもしれないし、もし忘れた人がいたら僕の傘が二本あるからそれを使ってくれればいいから」

「大丈夫です!私は今日は大きめの傘持って来ましたから。太一はちゃんと傘持って来た?」

「はいっ!勿論ですよ今先輩!午後から雨が降るからって折りたたみ傘を親から持たされました!ほら、この鞄の中に……あれ?」

「どうした?」

「鋼先輩、た、大変です!鞄の中から俺の折りたたみ傘が消えましたっ!あれっ?何処にいったんだろう?!」

「ははは太一。傘は消えたりしないだろ?大方、何処かに置き忘れたんじゃないのか?よく思い出してごらんよ」

「んー?んーー??」

「思い出せないのか?」

「はい、全く思い出せませんね!ちょっとその辺を探して来ます!」

「太一!支部の中をバタバタ走り回らないでよ!はぁ、梅雨になると洗濯物は生乾きになるしちょっと憂鬱だな。髪もこう湿気が多いと綺麗に纏まらないし……嫌になる」

「今ちゃんの髪は癖が無いしそのままでも十分綺麗だからいいよ。俺の髪の毛なんて、うねるし跳ねるし梅雨時の朝は毎日ブローするの地味に大変なんだよな。鋼ぐらい短いと朝はやっぱり楽か?」

「確かに鋼さんの髪型は朝は楽そうでいいですよね?支度にどれぐらい時間掛かります?」

「朝は起きて寝癖ついてても少し髪を濡らして整えてそれで終わりですね。たまにワックスで立たせてみたり。それも数秒で終わりです」

「へぇー。羨ましいなぁ」

「あ、じゃあ来馬先輩もこの際だから鋼さんみたく短くして髪を立たせてイメチェンしてみませんか?私ちょっと見てみたいです!」

「え?!うーん、でも似合わなさそうだしなぁ。やっぱり鋼みたいな髪型はがっちりした奴じゃないと……玉狛の木崎さんとか」

「………」
(短髪の来馬先輩か……ちょっと見てみたい)

「そうですか?結構似合うと思うんですけどね。あっ太一帰って来た。どう?傘は見つかったの?」

「いいえー。まだ見つからないです。それより来馬先輩そんな顔して何かお困りなんですか?!どうしたんですか?!」

「いや、今みんなで髪型の話しててね、湿気で髪が跳ねるから切ったらどうかなって今ちゃんに言われたんだよ。でもさ、バッサリ切って似合わないと嫌だなぁって思ってね」

「なぁんだ!そんな事ならこの僕に早く言って下されば良かったのに!僕が先輩の髪を切って更にカッコよくしてあげますよ!任せて下さい!」

「ええっ?!太一が?!」

「人の髪の毛なんて切った事あるの?!」

「へ?ないですよ!でも大丈夫です!」

「その自信はどっから来るんだよ!?」

「先輩達揃って嫌だなぁっ!照れるからそんな褒めないで下さいよ!じゃ早速ハサミを探して来ますねっ!待ってて下さい!ばーっと切ってチャキチャキっと整えて見違える様にしてみせますから!」

「ちょっといいから!ハサミなんてお前が触ったら危ないから本当に止めて!」

「コラ太一!止めなさーい!来馬先輩をストレスでハゲにさせる気なの?!ちょっと鋼くん、太一を止めて!あの子がハサミなんて持ったら怪我人が出るか、若しくは来馬先輩の頭が残念な感じに刈られてしまうわよ!」

「了解。全力で止めてみせる!来馬先輩を可哀想なハゲ頭なんかにはさせませんから隠れて待ってて下さい!」

「鋼っ!ありがとう!太一を頼んだよ!」

「はい!」


「ハサミーー!おーい、何処にいったんだー!?返事してくれー!あっ!傘見っけ!」
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