待ち人
(日向+初音)





あれ?
する事もなく一人でぶらついていて、ローカの先を走る影に違和感を感じた。
一瞬だけれど、視界に入った色は自分がよく知る綺麗な夕焼け色。
けれど、何かが違う。

「音無ー?」

取り敢えず、カドを曲がった影を追いかけてみる。




(何だ、違う奴だったのか)



其処に居たのは友人ではなく、まだ小さな女の子だった。
おそらく自分の背丈の半分程で、ユイより小さいかもしれない。
自販機に、精一杯手を伸ばす様がとても可愛らしい。
何かと世話を焼きたいような、庇護欲が沸いてくる。

「どれが欲しいんだ?」

思った矢先には、もう足が動いていた。

「ぇ…?」

驚いて顔を上げた少女に、こちらが驚かされる。
近くで見れば見るほど音無と似ていた。
艶やかな燈に染まった髪も、同じ色に光を足したような瞳も。
日向を見て困惑している表情だとか、顔の細やかな部分だとか、あまりにも似すぎている。
もはや他人とは思えない。

「えー…と、何買おーとしてたの?」

「…ココア」

もともと金は入っていたので、少女の手の届かない一番上にあるココアのボタンを押してやる。
ほらよと差し出してやると、少女はおずおずと受け取った。

「ありがとぅ」

そう言って華やかな笑顔で笑う少女に、やっぱ似てないかも。と思った。
少なくとも音無の綻ぶような笑でお礼を言うところなんて見たことがない。

「お兄ちゃん?」

自分の顔を見つめたままの日向の顔を少女が覗き込む。

「どうしたの?」

心配そうな顔で見つめてくる少女に、ずきりと心が痛む。
年端もいかない少女を目の前に友人、しかも男と比べるなんて自分はなにを考えているんだ。まぁ、男らしからぬ音無が悪いと自己完結してしまうのだか。

「何でもねーよ。ありがとな」

「ううん。ジュースありがとう、お兄ちゃん」

ぎゅっと胸元でココアを握りしめる。
自分の周りにはなかったタイプだ。

「おれは日向な。お兄ちゃんは…なんかくすぐったい」

一人っ子だったので、上や下が欲しいという願望は無かったわけではないが、いざ呼ばれると気恥ずかしい。


「日向先輩?わたしはね」


優しい笑顔で名を名乗る少女の顔は、やっぱり友人とそっくりだった。








「音無 初音です」








彼女も、また迷い子のひとりだった











シスコン上等な音無が書きたい。
日向と音無は兄妹ぐるみの仲とか、なんか可愛い気が(ry
そのうち五十嵐も参加させたいなぁ…



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