CC/Z→C
それはある日の出来事。
試練と言っても過言ではない出来事がザックスを襲っていた。
「………………」
ぼーぜんとベッドの前でザックスは立ち尽くしていた。
端から見れば間抜け以外の何でもない表情をして。
ザックスの視線の先には綺麗な蜂蜜色の髪をしっとりと艶めかせ、脚をぱたぱたさせながら雑誌を読んでいるクラウドがいた。
もちろん、それ自体はよくある光景だ。
誰しも自室であるならば、多少なりと寛ぐことはある。
しかし、問題はそこではなかった。
数時間前、ザックスはばったり会ったクラウドを誘って部屋で夕食と会話を楽しんでいた。
あっ、と気づく頃には門限は過ぎてしまっていてザックスはクラウドに泊まるよう勧めたのだ。
寝間着代わりにザックスの服を借りてシャワーを終えたクラウドは、ザックスのバイク雑誌を読んでいる。
その様子を見て、既に友情以上の想いを秘めているザックスは絶句した。
そして冒頭に戻る。
雑誌に夢中のクラウドは無意識にやっているのだろうが、脚を揺らすたびに(クラウドにとっては大きい)ザックスのハーフパンツが太ももまで捲れ上がり、白くすらりと伸びた足を晒していた。
上にきているシャツに至っては、右肩がずり落ちている。
言うなれば「美味しく食べて」状態のクラウドを、ずっと「お預け状態」でザックスが見ている訳で。
ザックスにしてみれば、それはそれは辛い状況なのである。
えっ………何この状態、何の罰ゲームですか?
誰が悪い?はい、俺ですよね。
クラウドに泊まらないか誘ったのも俺。着替えがないクラウドに服を貸したのも俺。風呂を進めたのも俺。バイク雑誌を貸したのも俺。全部俺!!俺ですが何か!?
「ザックス?」
悶々としている間に、クラウドがザックスを下から覗き込んでいた。
ちょこんと首を傾げた小顔がとても可愛らしい。
「クラウド!?」
大袈裟に驚くザックスに、クラウドは逃げ腰になりかけた。
「いや、シャワー行かないのかなって…」
「へ…あっ、行く!行ってくる」
脱兎のごとくシャワーへ向かったザックスに、クラウドは疑問符を浮かべたが、まぁいいやとベッドに戻った。
その頃ザックスは脱衣室でしゃがみ込んだまま鼻から溢れ出るものを必死に抑えていた。
「くそっ、生殺しだ………」
(眼福=我慢)
(耐えるんだ!俺)