CC後/ZC/Z生存パロ
普段は服に隠れていて、見えないものがある。
1人にとってはそれは誇りであり、自身の弱さ。
1人にとってはそれは罪悪であり、刻まれた記憶。
何でも屋は、名前の通りどんな依頼でも受ける。
それが安全な仕事もあれば、危険きわまりない仕事もある。
また、仕事自体は安全な内容でも、その過程が危険な仕事もあるわけで。
「…っ、」
扉を開けようとドアノブに力を入れると右の脇腹に痛みがはしった。
服の小さな切れ目からは、血がにじんでいる。
傷自体は浅いものの、なかなか血が止まらない。心配性の同居人に見られる前に自分で手当をしないといけない。
そう考えていると、開きかけ扉が開いた。
「おかえり。どうした、入んないの」
どうやら、同居人の方が早く帰っていたようだ。
元ソルジャーのザックスはん?と、呟いてからザックスは鼻をひくひくさせてから言った。
「どこ怪我したの、血の匂いがするんだけど」
反射的に脇腹を隠そうとすると、それよりも早く右腕をつかまれた。けっして力任せにつかまれたのではなく、ただ握る程度の力。
「とりあえず、家入ろうぜ」
そう言って、右腕をつかんだまま家に入ろうとしてからザックスが思い出したように此方を向き直した。
ザックスらしい、たのしそうな笑顔で。
「おかえり」
それは、一緒に住むようになってから何度も繰り返した一つの儀式。
お互いを確かめるための。
「うん。ただいま」
「さっさと傷の手当てしちゃおうぜ」
(不意にザックスの笑顔にキスがしたくなった)