設定ぐっちゃぐちゃ。ワンド2な雰囲気なのに二人は恋人同士。そしてエストは大人バージョン。
欠伸を一つしてからベット付近以外の明かりを消していく。時計を見ると針はもう真上につきそうな時間になっていた。
髪を解いて、本は近くのローテーブルに。
そして冷たい布団をめくっていざ横たわろうとした瞬間、控えめにノックされる音が聞こえた。
「はぁ、こんな時間に誰ですか。アルバロだったら許しませんよ」
「エスト、ちょっといい?」
この声は、ルル。
前にも夜に一人で出歩くなと注意したばかりなのに、こんな夜更けにどうしたのか。
「ルルですか、どうぞ」
そう返事を返すとネグリジェ姿のルルがおどおどと部屋に入ってきた。いつもの花の綻んだような笑顔はどこにもない。
「こんな夜更けにどうしたんですか」
「実は……ちょ、ちょっとだけよ?ほんのちょっとだけ、寂しくなっちゃって」
そう言い恥ずかしそうに顔を伏せる彼女。何故そこで僕を選んだのかはわからないが、少なくとも僕のところに来てくれて良かったとも思った。
「それで、エストの顔が見たくなったの。すぐに戻るから、少しだけお話ししない?」
彼女はいつも、僕に負担をかけないよう一人で我慢しようとする。今だって本当は、"少しだけ"では足りないはずなのに。
「まったく。あなたは何時までたっても成長しませんね」
「そ、そんなことないもの!!むしろエストが成長し過ぎなのよ!」
確かに僕はこの三年間でずいぶん成長した。背だってぐんと伸びて、あなたを支えられるくらい強くなった。
つまり今の僕には、彼女を抱き寄せられる腕がある。
「……いいことを思いつきました。そんなに寂しいのなら、僕のベットで一緒に寝たらいいじゃないですか」
「そっ、それは……」
そう言って先程以上に赤くなる彼女をお構いなしに、僕は彼女の腕を少しだけ強く引いた。
「ほら、寝ますよ。ルル」
「も、もう!ちょっと強引だと思うのエスト!」
「何言ってるんですか。いつもはあなたの方が僕を散々振り回していると言うのに」
「う゛っ」
明らかに図星という顔をする彼女。
一応自覚はあったみたいで良かった。
「たまには僕にも振り回す権利があると思います」
そう言えば彼女はもう反論できなくなったのか、赤い顔で僕の後をついてきた。そんな彼女を今すぐにでも抱きしめたい衝動にかられるが、ここは少しの我慢。
僕が先にベットに入り込み、次に彼女がベットに入り込んだ。
ついさっきまではただの冷たい無機質なベットだったのが、今は何故か特別な空間のように思える。
彼女の温もりをもっと近くで感じたくなって、体を引き寄せて優しく抱きしめた。そうすれば彼女の体は素直に驚き、硬直する。つい笑みがこぼれた。
「っ!!……エスト、何だか今日は甘いわ」
「たまには自分に素直になってみようと思いまして」
「そ、そうなの」
緊張して体が強張っていた彼女も次第に眠気が襲ってきたのか目を緩め始める。
このまま彼女が眠りにつくところを見て、そして起きる瞬間も見ることができる。幸せだと訴えるように胸が甘く締め付けられた。
「おやすみなさい、ルル」
「んん、おやすみ、エスト」
明日の朝起きたら、彼女に、ルルに愛の言葉でも並べてみようか。
そうしたらきっとルルは赤く頬を染めるだろう。
容易にそんな光景が頭に浮かび上がり、僕はルルという幸せを噛み締めて静かに目を閉じた。
END
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