「来馬先輩。今お時間ありますか?」


扉の向こうで愛しい人の声がした。いつもぼく達を守ってくれてる優しくて凛とした今ちゃんの声。
ノートパソコンを閉じて、驚かせないようにゆっくりと扉を引く。わぁ驚いた。今ちゃんだけだと思ってたのにみんないたんだね。


「みんな揃ってどうしたの?」


愛しい人がいち、に、さん。どうして三人ともそんなに嬉しそうな顔をしているんだろう。その手に持っている綺麗な袋が関係しているのかな?


「これ名字先輩から来馬先輩へのプレゼントですよー!」
「名字先輩?」
「B級フリーの狙撃手です。荒船の弟子で」
「私達も貰ったんですよ」


見てみて。と嬉しそうに掲げられたのは3つの袋。鋼と今ちゃんとぼくのは同じデザインの紙袋で、太一のだけ何故かスーパーのビニール袋。沢山のお菓子が透けて見える。良かったね太一、沢山貰えて嬉しいね。


「名字さんがどうしてぼくらに?」


おまえ達は名字さんと関わりがあるんだろうし、おまえ達はとても良い子だから名字さんからプレゼントを貰ったんだろうけど。
ぼくは名字さんと会ったことないし、申し訳ないけれど名前だって初めて聞いた。それなのに、何故ぼくにプレゼントを?


「実は太一が迷惑かけちゃったらしくて」
「撃っちゃいました!」
「鈴鳴支部の皆さん毎日太一の育児お疲れ様、これでしっかり眠って疲れをとってね。と今日学校で渡されました」


どうぞ。と差し出された紙袋を受け取る。キラキラとした目がいち、に、さん。きっとこの袋の中に何が入っているのか見たいんだね。ちょっと待って、廊下は寒いから部屋に入って。みんなが貰ったものをぼくにも見せて。


「ひざ掛けだ。凄く温かそうだね」
「私はレッグウォーマーを貰いました。冬場の台所は寒いからとっても嬉しい」
「俺はエア枕でした。快適な睡眠をお届けします。と楽しそうな顔で言われてつい笑ってしまいました」
「おれはお菓子ですねー!半崎と名字先輩と一緒に買いに行きました!楽しかったー!」
「あんた自分だけない!って駄々こねたんじゃないでしょうね?」
「え、と、してな、い、ですよぉ」
「太一。私の目を見て話しなさい」


さっきまで静かだった部屋が心地よい騒がしさに包まれる。あぁ、愛しい。ぼくは本当に幸せ者だ。


「今度みんなでお礼を言いに行こうか」
「そうですね」
「名字さんは何のお菓子が好きかしら」
「来馬先輩は多分名字先輩のギャップにやられちゃいますよ!」


ヤンキーみたいな見た目してるんですけど、めっちゃ面白くていい人です!
いつもだったら失礼でしょうと太一を叱る今ちゃんが、うんうん、と楽しそうに頷いていて、鋼も凄く楽しそうに笑っている。


「それは楽しみだね」


ひざ掛けはすべすべとした肌触りで気持ちが良い。ぽってりと太った魚のイラストが愛らしくて可愛いね。B級フリーの面白くていい人の名字さん。ぼくも早く会ってみたいな。きっととっても素敵な女の子なんだろうな


おまえたちがそう言うんだから


マエ モドル ツギ

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