06:ふわふわ。 ■五萬打記念:同級生高桂←銀




※ご注意

3Z設定で、桂さん・銀さん・高杉は同級生で幼馴染です。
高桂←銀な感じかもしれないっていうかそんな感じです。っていうか、結局高桂ですすいませn(ry

「もこもこ。」のちょっと前位の話です。

ちょっと土ミツ風味な表現があります。苦手な方は華麗にターンしてね!



















ふわふわ。


--------------------








二つの編み棒に、ひとつ、またひとつと毛糸が絡んだかと思うと、あっという間に糸だったモノが何だかふわふわしたモノに変わっていった。




放課後の教室、珍しく桂と二人きりになった。

いつもは俺より数センチ背が低いチビ杉が桂にくっついて離れないので、大概3人になってしまう。しかし今日はチビ杉が職員室に呼び出しを喰らったらしく、嬉しいことに桂と久しぶりに二人きりになれた。



二人きりになれた理由が、高杉が教室に来るのを待っているのだと分かってはいたけれども。



桂は自分の席に座って、じ、と手元をみつめ、一心に作業をしている。話しかけても、簡素な返事しかかえってこないので、少しつまらない。

毛糸と編み棒が入った鞄には、白い毛糸と、編み掛けのモノがついたままになっている編み棒が見えた。心なしか桂が楽しそうに見えて、胸の奥がちくり、痛かった。



桂が今編んでいるのは黒い毛糸だ。



何でお前が編んでんの、と聞くと、思った通りの名前が出てきたので、俺は心で溜息を吐いた。



「もうすぐ寒くなるだろう、」



体調を崩さないようにと思ったんだよ、


云って、笑った。



ああ、うん、笑ったこいつの顔は、好き。

好きって云うか、うん、大好きなんだと、思う。



ただその笑顔は、その笑顔をさせているのは、俺じゃなくて。



「ヅラってさぁ、晋ちゃん甘やかし過ぎじゃないの。もう俺等高校生だよ、しかも二年生だよ、17歳だよ、子供以上大人未満だよ。」

「ヅラじゃない桂だ。甘やかしてなどいないだろう。晋助は寒くなると体調を崩しやすいじゃないか。というか、最後のは何を云ってるんだ、」



正確には、性質の悪い風邪にかかると酷いって話だ。
昔、まだ幼い頃、風邪を引いた高杉に「お前って病弱なのね、」と笑ってやったら、治るときは直ぐに治るモンだと冷たく云い放たれた。

事実、高杉は体が弱いわけではなかった。相性が悪い菌やら何やらにひっかかると悪くなるらしい。


それを、桂が知らないはずは、ないのに。


「っていうか、なんで編めるの、お前そんな趣味あったっけ、」

「ミツバ先輩に教わったんだ。先輩もマフラーを編んでいたから、丁度いいと思って。」



あれ、ミツバ先輩って、誰だっけ、



ああ、そうだ、確か生徒会の人だった気がする。桂は学級委員長で生徒会役員だから、多分生徒会で話していてこういう結果になったのだろう。

そもそも、男子高校生が編み物って何でだよ。むしろ貰う側だろ、とか思うんだけど。


「へーぇ。センパイ、誰に編んでるんだろうねぇ、」

「風紀委員の沖田にじゃないか。ああでも、もう一人の方にもかな、」



くす、くす、笑う。


ああ、笑った顔、好きだなぁ。



ちり、ちり、



胸の奥が、痛い。




鞄の中には白い編み掛けのマフラーが入っている。どうしても触れてみたくなって、そっと手にとってみた。











「…なにこれ。」

「ああ、そっちは初めに編んでいたんだが、晋助に黒が良いと云われて編み直すことにしたんだ。まだ途中で…、」

「いやいやいやそうじゃなくて。なにこの真っ白お化け。」

「お化けじゃない、ステファンだ。可愛いだろう、」


途中まで編み掛けになっていた白いマフラーには、黄色いくちばしのようなものがついてて、丸い目みたいなモノもついてて、なんかこう、なんとも形容しがたいデザインだった。

そのマフラーを見てにこにこと笑う桂はやはり可愛いので、ああ、俺は重症だなと思った。



この気持ちを伝えたいのに、伝えられないのは、結果が分かり過ぎているからだろうか。



普段はあまり表情を変えない桂が、高杉のことになる時だけ、ふわりと笑う。嬉しそうに、楽しそうに。




「…俺も、欲しいなぁ、」

「なんだ、やっぱり可愛いと思っていたんだな、銀時。」




ぽつり、心の中で呟いた筈の言葉は、口から零れ落ちていた。



あ、これは、まずい。



違う違う、俺はそのデザインが可愛いと思ったわけじゃなくて、いや、そうじゃなくて、いや、桂が可愛いのは、そうなんだけど。


ああ、まずい、失敗した。パニックになってる。らしくない、こんなのは。



自分の気持ち一粒を零してしまった。



云わないでおこうと、ずっと、想っていたのに。




「それなら、さっちゃんさんに頼んでおこう。色はピンクで決まりだな。もちろんデザインはステファンで…、」

「ねーよ!つかなんでピンク?しかも何であのストーカー女が出てくんだよ。」

「あれだけ好きだ好きだと云われてるじゃないか。それならきっと編んで…、」

「俺は毎回断ってンだよ!つかあいつが出してくんのは編み物じゃないもの。なんかネバ物だよ。」

「いいじゃないか、美味しそうで。」

「何処が?!」







くす、くす、桂が声を出して笑った。



ああやっぱり、笑った顔が一番、好きだなぁと想う。




きっと叶わない想いを抱え込んだまま、俺は手に持った白いマフラーをむにゅー、と握った。




― 綿飴みたいだ、




いっそ、綿飴ならば良かったのに。





綿飴のようにもこもこふわふわしたマフラーを握った手先からは、叶わない想いの苦さしか伝わってこなかった。










---------------------------

-->> Thanks 50000 count!


■フリー配布:12/8〜12/18
 ※配布は終了しました。

---------------------------

50000HIT有難う御座いまし!たぁああぁぁぁあぁぁあああ!号泣

それなのに即席ですみませんごめんなさいでした。

一度書いてみたかった同級生設定。そして結局どんな設定でも高桂になってしまう罠。桂さん無自覚にも程があります。銀さんごめん。

ミツバさんは一度でいいから出したかったんです。どうしても出したかったんですごめんなさい。土ミツが好きなんです…!(ノマカプ万歳!

50000HIT本当に有難う御座いました!

みつき
-----------------
2008/12/8 掲載
2008/12/24 再掲載 

[ 37/79 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -