番外)クリスマスSSS・オマケ
家を出た途端、寒風が吹き抜けていったので、思わず身体を震わせた。
「おはよ」
玄関前の彼を見つけて声をかけた。
「おはよう、今日も寒いね」
「待たせてごめんね」
昔から、私たちは交代で待ち合わせて登校している。待ってくれていた蔵馬の頬に手をあてると、早くも冷たくなっていた。
「カイロ持ってるけど、いる?」
「いや、これがあるから、実はそんなに寒くないよ」
彼が指したのは、クリスマスにプレゼントした、彼の首に巻かれているマフラーだ。初めて挑戦した手編みなので、既製品に比べるとやっぱり目が荒い。
眉を下げてしまう私に彼は微笑んで、
「そんなに気になるなら、来年、コレと交換してよ」
新たな課題を突きつけてきた。
「そんなのでいいの?」
そんなモノで? という意味を込めて言うと、
「うん、君のがいいんだ」
と、言われてしまった。
「…………ガンバリマス」
声もなく笑っているのが気配で分かった。顔を赤くして俯く私は、見ることが出来なかったけれど。