あとは勇気だけだ! 1
こんにちは。三上ハルです。
なんだか、この挨拶も久し振りですねー。
え?今何してるって?
今私は、椎応大学という大学の文化祭に遊びにきています。私ではなく一緒に来た友人の志望校です。新宿から電車で30分、まぁまぁの立地条件だし学生は活気があって緑も多いし、良いところみたい。
って、私がレポートしてどーする!
でもしょーがないんですよー!だってワタシ今、絶賛迷子中ー!!!ここどこー!?友人はどーこーいったーーー!!
風を読めばいいじゃんっておっしゃいますが、こーんなに人混みが酷いとダメなんです。風が滞って私にまで届いてきやしない。
ほら見ろ!人がゴミのようだ!はっはっはっは!
はぁ、余計に寂しくなってきた……。
「今度はあっちを探してみるかー。どーこ行ったのかなー……」
そろそろ、泣いてもいいですか?
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一人寂しく、校舎内の展示ブースを抜けて歩くことしばし。もうこの辺りに見せ物は無いから、一般客の友人もいないよね。
引き返そうかな?
と考え始めたとき、何やら女性の……泣き声?
「まさか迷子仲間!?……なワケ無いよねぇ、ハハハ……」
とは思うものの、もしかして……と孤独な迷子心理に従って、私は声がした方へフラフラと引きづられていった。
++++
「田中さんのブワァカァーーーーーー!!!」
うわぁぁぁぁあああん!と泣いている長い黒髪が特徴的な、やたら胸の大きな女性。って、着物の着付け中? 帯が上手く結べなかったのか、酷い格好だなぁ。
乱れた着物姿の泣いている女性。
……時代と場所がマッチしていたら、このおねーさん、女性としてかなり可哀相な目に遭ったのかと想像しちゃうかも。まぁ、こんな平和な時代、平和な場所でそれはないデショ。
なら、どうして泣いているのかな? あ、茶道部とか華道部とかの人? 着付けが出来なくて困っている……にしても、茶道部や華道部の人が着付けに慣れていないのも変だよなぁ。
彼女が泣いている理由がよく分からなくて、思い切って声を掛けてみることにした。
「あのー……おねーさん、どうしたんデスカ?」
おずおずと声を掛けてみると、ようやく第三者が居ることに気づいてくれたようで、おねーさんが此方を見た。その際、彼女の肩がビクリと震えたのを見て、何だか申し訳なく思ったが。
「え?あれ?あ、貴方は?」
オタオタと慌て出すおねーさん。そりゃあそうだろう、乱れた着物姿で、泣き叫んで居たところを見られたのだから。
「えぇ……と、何だかすみません。おねーさんの泣き声が聞こえたものですから、つい部屋を覗いちゃったんです。……ところで、おねーさん、もし着付けに困っているんでしたら、手伝いましょーか?」
私の申し出に、またおねーさんの目に涙がウルウルと溢れ出し……
「本当ですかぁーーーーー!!是非、お願いしますぅーーーー!!!」
タックルかと思うほど激しく抱きつかれた。おぅふっ。