▼ 努力賞
「高尾。試合、お疲れ様」
「!……来て、くれてたんだ」
「うん」
誠凛高校 対 秀徳高校 戦。
高尾が所属する王者 秀徳高校バスケ部は敗れた。
緑間は柄にもなく雨の中涙を流していた。緑間も高尾も先輩たちに励まされたのを見たが、とても、とても悔しそうだった
彼らのそんな沈んだ様子を見ていられなくて、高尾に気を遣わせるとわかっていて会いに来た
高尾は床に座りタオルを頭にかけ、うつむいたまま私に返事をした。口元は笑っているけど、必死に繕っているはず
「高尾は、頑張ったよ。勝ったとか負けたとかそれも大切だけどさ、精一杯出来たら私はそれでいいと思うんだ」
「はるか……ごめん、ごめんなっ……」
頭を撫でてやれば、ぎゅっと抱きついて来て肩に顔を埋め泣いた。初めて見た高尾の泣き顔。
負けたけど、悔しい、楽しかった、まだバスケしてたい
ぽつり、ぽつりと口から零れる言葉
「まだ、真ちゃんにも認めてもらってないし。先輩たちとまだバスケしたい」
「高尾なら、頑張ればすぐ緑間なんて越せるよ」
「頑張る。だから、応援しててな」
「もちろん」
やっと高尾らしい笑顔が見れた
「高尾は笑ってるのが似合うよ」
「それ、俺の言葉だから」
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