2015-6-24 Wed 15:36

赤司くんは魔法使いである。いや、魔法使いなんて可愛いものじゃない。
赤司くんが望むと大抵のことは叶ってしまうのだ。嘘とか誇張とかじゃなく。

「例えば地球の生態系を崩したり、人類の歴史そのものを変えてしまうような改変は怖くて出来ないけど」
「……はあ」

赤司くんはソファにもたれながらふふんと笑う。
「今までオレが無敗を貫き通して来たのだって、オレがそう望んだからだ」
「…じゃあどうして誠凛に負けたんですか」
ムッとしてそう尋ねると、赤司くんは面白そうに一層笑みを深くした。
「オレがそう望んだからだよ。確かにあの試合、負けたくはないと思っていたし全力で戦いもしたが、オレはずっと誰かに負けることを待っていたからね。そしてその初めての相手は黒子が良かった」
「……」
苦虫を噛み潰したような顔をしていると、赤司くんは「それに、」と続けた。
「こうして黒子と両思いになっていることも願い通りだしね」

「…その理屈でいくと魔法使いは僕の方じゃないですか」
「ええ?」
面白そうに赤司くんが立ったままの僕を見上げる。
「だって、ずっと手に入れたいと思ってた君が今僕のものなんですから」

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