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Confine


イライラする。

悪く言えば八方美人。
だけどそうやって誰にでも分け隔てなく優しいのがヒロのいいところ。

天然なところも可愛いと思う。

だけどね。

君のその笑顔に惑わされる男は僕だけじゃない。

たとえそんな趣味がなくたって、ヒロならって思う男はいるってこと。

ちゃんと知ってないとマズいんだけどね。



「ん…大ちゃん…っ」

背中から抱きしめたまま、耳に舌を這わせるとビクッと体を震わせる。

いつだって感度は良好。
誰がこんな体にしたの?

それが自分だって確信したくて、首筋にキツく痕を残す。

「っ…大ちゃん、どうしたの?」
「何が」

強く抱きしめた腕から逃げ出すようにヒロが振り返る。

「なんか…いつもと違う」
「そんなことないよ?」

ヒロが思う僕を演じて。
いつものように優しく笑う。

僕は優しくなんかないよ。

いつだって君をめちゃくちゃに壊したいって思ってる。

「っ!や…っ」

慣らすこともしないでいきなり指を入れる。

「激しくされるの嫌?」
「…いいよ。大ちゃんいつも優しいから、たまには違う顔も見せて。オレだけには特別な大ちゃんでいて」

またそんな風に僕を煽る。

そんなに僕を夢中にさせてどうするつもり?

僕は優しくなんかないけど。
君が他との違いを望むならいくらでも与えてあげる。

「ねぇ…ヒロもして?」

口唇を指先で撫でながら囁く。

少しだけ戸惑うようにしてから、僕のベルトに手をかける。

君の可愛い口唇が僕を包む。
君の舌が遠慮がちに、でも僕の気持ちイイ場所を刺激する。

僕が教える前はこんなこと知らなかったよね?

僕だけしか知らない顔を見せて。

「……ぃや!」

髪を掴んで顔を上げさせると瞳を潤ませて抵抗する。

「なんで?可愛い顔見せてよ」

わかってるよ。
してるとこ見られたくないんだよね。

だからちゃんと見てあげる。

「ん…っ」

頭を押さえたまま胸に手を滑らせる。

「や…ん」
「ダメ、舌が疎かだよ」

わざと君の羞恥を掻き立てる。

「大ちゃん…もぅ、して…」

涙を溜めて、おねだりの表情。

その顔で何人その気にさせてきた?


床に俯せて後ろから抱きしめる。

一気に奥まで入り込むと苦しそうに声を上げた。

甘ったるい、声。

その声で僕を呼んでよ。
もっと求めて。

なんでもしてあげる。


「ヒロ…今日さ」
「え…?」
「…なんでもない」

気づいてないなら、もういいよ。

君を汚い目で見てる男がいるなんてこと、知らなくていい。

君は何も知らなくていい。
僕が守ってあげるから。

誰にも渡さない。

僕以外には感じない体にしてあげる。

「大ちゃん…もう、ダメだよ…っ」

激しい僕の動きに、ヒロが許しを乞う。

無理矢理に顔を後ろに向かせて目を合わせる。

君の一番綺麗な表情は僕だけが見てあげる。

「もう…や……!!」

そのまま、君は気を失った。

それでいい。
体に僕を憶えさせて。


***


「ごめんね」

ヒロをソファに寝かせて、優しく髪を撫でる。

苦しそうだった表情が少し和らいだ気がしてほっとする。


ごめんね。
でもヒロが悪いんだよ。

僕以外の男に笑顔を見せないで。

僕だけに見せてくれる君を、たくさん見せて。


End.

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