Close to You | ナノ
Close to You


その日、大ちゃんの家に遊びにきていたオレは懐かしいものを見つけた。

大ちゃんと仕事をすることになって初めて二人で一緒に写った写真。

「大ちゃん、これ見ていい?」
「あ!まだダメだよ」

紅茶をいれてキッチンから戻ってきた大ちゃんは、少し焦ったようにオレの手から写真を取り上げる。

「ちゃんとできてから渡そうと思ってたのに。もう〜」
「だって机の上に置いてあったんだもん。懐かしいね」

オレは再び大ちゃんの手から写真を抜き取る。

「そのまま置いといても劣化しちゃうでしょ。データにしてヒロにあげようと思ったの」

そう言って大ちゃんは他の写真も引き出しから出してきた。

「スゴい、よくこんなのとってあったね」
「ヒロはなくしちゃってるでしょ。そう思ってあげようとしたんだけどね」
「そんなことないよ〜。オレの人生の一大転機だもん。大事にとってあるよ」

どこにしまったかわからないけど…。

「この頃のヒロ、もう誰が見たってわかるくらいガチガチに緊張してたよね」

大ちゃんが写真を見ながら懐かしそうに目を細める。

「見た目はしっかり芸能人の顔してんのにって。アベちゃんとかよく笑ってたよ」

オレをからかうような悪戯っぽい大ちゃんの瞳はあの頃と全然変わってないけど。

あのときは凄くキラキラして、手が届かないと思ってた存在が今はこうして近くにいてくれる。

「この頃からきっと、僕はヒロのこと好きだったんだよね」

そんな大ちゃんの言葉に、オレは笑った。

「それはないでしょ〜。だってまだ出会って何日も経ってない頃だよ?」
「うん。だからきっと、初めて会ったときからだね」

大ちゃんも笑ったけどその声は真面目だった。

「僕は、初めてヒロを見たときからずっとずっと好きだったんだよ」

まっすぐな大ちゃんの眼差しにあの日のことを思い出す。


初めて大ちゃんがオレに好きだって言ってくれた、初めてキスした日。

オレは大ちゃんに言われて、やっと自分の気持ちに気がつけた。


もし大ちゃんが言ってくれなかったら、今のオレたちはこうしていなかったかもしれない。


「うん…オレも、多分」

気づかなかっただけで、オレもきっと最初から大ちゃんが好きだった。

「じゃ、エッチしよっか」
「……は??」

せっかくいい雰囲気だったのに。

「何、その流れ」
「何じゃないでしょ。今そういう流れでしょ」
「ちょ…ちょっと、大ちゃん」

ジリジリと大ちゃんが近づいてきて、オレは後ろのソファに追いつめられる。

「ん…」

口唇が触れて、強く押しつけられたけどそれだけで離れていく。

物足りなくて、もっとして欲しくて思わず大ちゃんに手をのばしていた。

「したくなった?」

大ちゃんが面白そうに笑う。

いつもはオレより年上になんて見えないほど可愛らしいくせに。
こういうときの大ちゃんは本当にカッコよくてオレはいつも見惚れてしまう。

そんな大ちゃんが好きだから。
逃げられるわけなんてない。



「ね、ヒロ覚えてる?」
「ん…何を…?」

優しくソファに横たえられる。

耳元や首筋にキスを落としながら大ちゃんが聞いてくるけど、本当は質問なんかもうどうでもいい。

「初めて、僕に抱かれてくれた日のこと」
「え…」

指を絡めて、ぎゅっと力を込められる。

「あのときね、ヒロ本当は怖いはずなのに。僕のこと好きだからって、こうして手握ってくれて。凄く嬉しかった」

初めて大ちゃんに抱かれた。
当然そんなこと初めてだった。

でも大ちゃんならいいと思えたから。
この人になら、冗談抜きで全てを預けられると思った。

だから、オレは今ここにいる。

「大ちゃん、好き。大好き。早くきてよ」

今度は自分からムードも何もブチ壊して大ちゃんを抱きよせる。

こんなにずっと一緒にいるのに未だに余裕なんてない。
いつだって大ちゃんが欲しくて堪らない。



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