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優しいようでムリヤリしてくるワタルさん


「ン っ !」

お腹の中を満たす温度に、背筋が震えた。神経が露出してしまったかのように、全身が敏感になっている。空気に触れることすらイヤなのに、お腹の一番奥をぐりぐりされるのは耐えられない。逃げようと引いた腰は、しかし掴む手に許されなくて。括れを撫でていた大きな手が、ぐいとわたしの腰を引き戻した。ずぶり。ナカに戻ってきた熱に串刺しにされる、こぼれそうになった悲鳴は吐き出された最後の子種に呑まれて消える。

「腰が引けてる」
「だ、 だって、あつい」
「だからといって逃げようとするな、寂しくなる」

言葉とは裏腹に、その声はひどく機嫌が良さそうだった。もう動くことさえできない、はふはふと望まれる姿勢のまま呼吸を整える。その様子に満足したのか、腰を掴んでいた手が離れてわたしの髪を梳いた。汗でびっしょりと濡れた髪に指を通して、束ねるようにまとめてくれる。そうするとわたしの表情が良く見えたのだろう、大きな掌が慰めるように頬を撫でた。

「ミシャ、俺を寂しい男にする気か」

ワタルさんの指が、唇を遊ぶ。返事を促すように、呼吸を繰り返す唇を割って舌を撫でた。それを拒む力もいまはない、散々弄ばれた体はもう限界だ。眠ってしまいたい、薄れていく快感の代わりに込み上げてきた疲れが意識を霞ませていく。とろんとした表情に気づいたのだろう、ワタルさんがコラと指で舌を摘まんだ。

「ン」
「寂しい男にしてくれるなと言っているだろう、まったく。君は堪え性がない」
「 ぁ だ、め」

ぐいとワタルさんの腰がまた動き始める。亀頭がぐいとナカを押し開くように進むから、忘れていた快感が戻ってくる。ピリピリ、静電気のように走る甘い痺れ。指先までしっかり行きわたって、また終わりのない深い場所に連れこもうとする。枕を握り締める手に、ワタルさんの手が重なる。背中に彼の熱を感じた、お腹に回った手がわたしを引き寄せれば__ああもう、逃げられないなと人ごとのように思った。

「ぁ う ァ ア、 んン゛ !」

ワタルさんの陰茎が、わたしのナカを好き勝手に暴いて。お腹の奥をこつんこつんて、ノックする。それも好き、呼吸が苦しくなるけど気持ちいいの。イッたわたしの腰を掴んで奥の方をぐりぐりされるのも、す、き。それをされるとキモチイイのが続いて、良く解らなくなるけれど。全部、ワタルさんが、教えてくれたことだ。

「わ、 タル さ」
「ん?」

おしりが、ワタルさんの腰にぴったりくっついて。ポルチオを亀頭がぐりぐりしてる、それをされるとお腹のあたりがだんだん重くなっていって、イクと風船みたいに弾けるのを知っている。すごく怖くて、理解できるキモチイイの範囲を超えてしまうから、それはイヤ。

「い、いや それ、やめ て」
「これをすると、君は良さそうだが」
「いや、 こわいの ワタルさん ワタル、さん おねがい」

重なる手をなんとか引き寄せて、甘えるようにキスをする。彼の大きな手が好き、キズだらけで皆を守ってくれる優しい手…、わたしのことを愛してくれる手。

「…甘え上手だな、俺と違って」

ずるりと陰茎が抜けた。亀頭がゆっくりと膣を引っ掻いていくのが気持ち良くて、小さくイってしまいそうになる。先ほどまでお腹を満たしていた熱が居なくなってしまった、それを寂しいと頭が勘違いして膣口が震えるのが解った。ワタルさんはうつ伏せになっていたわたしに「こっちをむいて」と言う。彼の手に従えば木目の天井が見えた…彼の寝室の、天井。

ワタルさんは呼吸一つ乱れていなかった。赤い髪を掻き上げて、グレイの瞳がわたしを見た。ドラゴンのように縦割れの、鋭い瞳。獰猛な本性を宿したそれが、まっすぐにわたしを見ている。

「足を開いて」
「あ、 ン」
「そう、俺の腰に絡めて… 良い子だ」

言われるがままに彼の腰に足を絡めた、はしたないとか今更だった。満足そうに太ももを撫でたワタルさんが、抜け出した熱を再び押し込めようとする。膣口の浅いところを、亀頭で弄りながらずぶずぶと戻って来た。熱が膣を押し開いて奥に入り込んでくる、その感覚が耐えようもなく気持ち良い。無意識のうちにぎゅうと足に力が籠る、挟まれているワタルさんの腰を巻き込んで…まるで、もっと奥に欲しいと強請っているようになって。

「君の要求をのむ代わりに、…もう少し俺に付き合ってもらうよ」
「し、んじゃう」
「殺しはしないさ」

すがめられたワタルさんの瞳には本気の色が見えて、怖いのに、怖いのに、膣がきゅうと鳴いた。まるで期待するようにワタルさんの陰茎を締め付けたから、それが最後の導火線に火をつけてしまったようだ。

荒れ狂う前に、彼がくれたキスは優しかった。

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