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ワタルさんとくすぐったいくらいの愛




「好きなように動いてみるといい」

一瞬が永遠に感じるほどの愛撫に蕩けて、切なく悶えるわたしの中にワタルさんの熱を迎えた。彼の体格に見合った逞しいそれは、わたしには少し大きすぎるほど。それでも体は何度も愛し合った夜を覚えているのか、かたいところが入り口を過ぎるとつるりと彼を呑み込んだ。

止まりそうになる呼吸を必死に繰り返して、ワタルさんが苦しくないように努めていた矢先だった。言われていることが解らなくて彼を見れば、グレイの瞳が意地悪そうにわたしを見て笑った。

いつも痛いほどに腰を掴む手を解いて、わたしに身体を起こすように誘導する。わたしの膝ではワタルさんの身体を跨ぐには足りない、だからといってこのまま座れば自重でお腹の奥深いところまで彼に貫かれてしまう。

慌ててワタルさんのお腹の上に手をつく。ほとんど彼の上に乗っているようなものだ、重いだろうにワタルさんは眉一つ動かさない。それどころか、それすら愉しむように足の付け根の敏感なところを指でなぞる。

「ン だ、め」

くすぐったくて、殆ど力の入らない内腿が崩れそうになる。そうならないように力を籠めると、お腹の中の剛直をきゅうと締め付けてしまう。隙間なく内側を満たす固いもの、そのかたちを確かめるように内側がぞろりと動く。そうなるとワタルさんも気持ちいいのか、少しだけ険しい顔をした。

なんでだろう、解らないけれどその一瞬だけ見えた顔が酷く愛おしく感じた。わたししか知らない、ワタルさんのかわいい顔。朦朧とする頭の中で、もっと見たいと意地悪なわたしが囁いた。その声に操られる様にして、わたしは少しだけ自分から腰を落とす。

「ァ、 ん っはぁ、 ワタル、さん」

何時も彼がしてくれるのを思い出して、少しずつ腰を落とす。いつもそぐように膣を行き来する熱が、ありえないほどゆっくりとわたしの内側に入ってくる。

それは未知の感覚で、くすぐったいほどやさしい。甘い痺れに似た心地よさがぴりぴりと全身に走った。自然と足が開いてしまう、そうするとワタルさんに秘部を見せつけているようで恥ずかしい。閉じようとするも、先に気づいたワタルさんに掌で抑え込まれてしまった。

「そのまま」

短い言葉、砂糖を煮詰めた様な甘さを含んだ命令。逆らうなんて選択肢はなくて、わたしはそのままゆるりと腰を落とす。体がしようもなく暖かい、まるでぬるま湯に浸かっているような。

いつもの嵐みたいな、頭に直接叩き込まれるような快楽ではない。自分のペースで、ワタルさんに教えてもらった気持ちいいところを辿る交わり。それはまるでお酒みたいに体中に広がって、辛うじて残していた理性を嬲るように溶かしていく。

とつんって、お腹の奥に硬いところが当たると背筋がびくんって震えて、雷に撃たれたみたいな気持ち良さが足の先まで響いた。これは嫌、ゆっくりと抜けば返しがぞりぞり内側をこそぐ。それは痺れるほど気持ち良くて、気を抜けばイってしまいそうだ。

自分がイってしまいそうになる場所を避けて、拙くも腰を動かす。情けないことに、この蕩け切った体はどこを擦っても大層気持ち良くなってしまうそうで。彼の与えてくれる溢れんばかりの快楽を享受していただけの身体は、すぐに音を上げてしまった。もうムリだ、どこを擦っても、もう、イっちゃう。

「わ、たるさ きもちい…?」

震える声で訊ねる、わたしがこんなに情けない様子を晒している間も、彼はまるで観察でもしているような表情をしていた。少しだけ見せてくれたあの顔がみたいのに、どうしてうまくできないんだろう。無性に悲しくなって泣いてしまいそうだ、それを見てワタルさんが驚いたように目を見開いた。

「気持ち良かったよ、ミシャ」
「ん ほ、ほんとうに」

大きな手が頬を撫でる、それが嬉しくてすり寄れば。わたしの背を支えて、身体を起こした。

「ああ、君がくれるのは少しくすぐったいくらいだが」

悪くないと、抱きしめて頬にキスをくれる。嬉しくて彼の首に腕を回して、わたしも触れるだけのキスをした。何度か繰り返しているうちに、それだけではもどかしくなって。いつもみたいにもっと深いのがほしい、___少しだけ口を開くと、意図を察したワタルさんがもっと深い交わりをくれた。

彼の舌先がわたしの舌に触れて、絡みあう度にくちりと生々しい水音が頭の中に響いた。時折優しく甘噛みされて、啜るようにされると背筋が震えるほど気持ちいい。わたしのお尻を大きな手が掴んで、キスの合間にいたずらに動く。

身体を持ち上げて、落としてわたしが必死に避けていた敏感な所だけを擦られてしまえば、あっという間に避けていた感覚が弾ける。逃げていた代償とでもいうように、先ほどとは比べ物にならない深く重みの快感が頭の中に叩きこまれるようだった。

人間性を奪う暴力的な気持ち良さから逃げたくて、彼の首に回した腕に必死に力を籠める。少しだけ爪がワタルさんの背を齧ってしまう気がした、重なってしまいそうなほど近いグレイの瞳はそれすら甘い痺れだといように揺れた。

「あまり無理に咥えこもうとせず、いい所に当てるんだ。今の君なら、それを繰り返すだけで気持ち良くなれる」
「ン は、ぃっ」
「それに慣れてきたらゆっくり、腹の方をなぞるようにして奥まで」
「____ぃ、 あ! ま、って」

ワタルさんが言葉で説明しながら、わたしの腰を掴んで実践して見せる。ゆっくり、固くて熱い熱の塊が、その先でお腹の内側をこそぎながら深く沈んでいく。やがてこつんと一番奥に触れると、腰に回った手がわたしの身体を引きずり落とす。

その瞬間、ぐりとワタルさんの熱がお腹の奥に入り込むのを感じて悲鳴みたいな声を上げてしまう。まるで子宮を超えて、内臓を突き上げられたような。苦しいのに、それ以上に気持ちいい。相反するはずの感覚が交互に襲って、もうどちらが正しいのかもわからない。

イってしまったばかりの身体には辛すぎる交わりに、身体に力が入らず震えてばかりの身体をワタルさんが撫でてくれる。

「お、なか くる、し」
「すぐに悦くなる」
「おなかの、なか はいって」
「入ってない、子宮と…膣の間だ」

ちうと首筋に甘い痺れを残した後、ワタルさんが少しだけ体を離す。そうして掌で柔らかいお腹の肉をなぞった、するとお腹で呑み込んでいる彼の熱が良く解ってきゅうとナカを締め付けてしまう。それが面白いのか、クツクツと喉で笑う声がする。日に焼けた、わたしとは違う大きくて歪な手がぐりと最奥で触れ合っている個所に触れる。

「あ ァ゛!」

外側から与えられる刺激に、ずくんと子宮が疼いた。触れられる度に、重たい何かが溜まっていくような。耐え切れない、頭のおかしくなりそうなどうしようもない熱から逃げたくて体を捻じる。すると深いところに突き刺さった熱が、中をぐりぐりと動いて逃がした筈の悦楽がそれ以上の重さで戻ってくる。

もうどうしようもなくて、どうにかする力も残っていない。それでもまた体の奥底で再び熱を持ち始めた欲望をどうにかしてほしくて。何度もワタルさんの名前を呼ぶ、無我夢中で強請るような声は聴くに堪えないだろう。それでも優しいワタルさんは、呆れずにわたしの名前を呼んで答えてくれた。

「ミシャ」

それは最上級の愛の囁きだった。名前分の文字に籠められたワタルさんの思いの奔流、なにかも忘れて溺れてしまいたくてわたしは静かに目を閉じた。

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