REQUEST(70万打) | ナノ

by Dolly Parton
六道骸ハッピーバースデイ | ほのぼの,甘々



学校帰り、不意に珍しいものを見つけて立ち止まる。
あ、もうそんな時季かとぼんやりそれを見ていたら唐突に六道くんのことを思い出した。最近付き合い始めた…謎ばっかりの彼氏、他校の生徒で中学生とは思えない色気と貫録を併せ持つ人だ。正直私には勿体ないと思うのだが、彼が私に「飽きた」と言うまでは一緒にいるつもりでいる。付き合う切欠をくれたのは六道くんだから、どんなに私が好きであってもその権利だけは彼のものだ。

(…六道くん今日誕生日だよね)

6月9日は彼の誕生日だ。とは言っても、彼に直接教えて貰った訳じゃない。携帯アドレスを交換した時にプロフィールに偶々書いてあって知ったのだ。…一応メールを待ってみたけど、今午後4時に至るまでに彼からのメールはない。まあそうだ、彼は私が誕生日を知っていることを恐らく知らない。

(それだけだったら良いんだけど…)

六道くんは、とってもカッコいい。クールな外見に違わず、とてもクールな性格の人だ。ツンデレなんて可愛いものじゃない、言うなればストイック。どこまでも潔癖で清純だから、私はどこまで踏み込んで良いのか良く解らなくなる。

デートの時、無防備な手の指を絡めて良いのか。理由も無く、彼の名前を呼んで良いのか。その日メールが来てなくても、私からメールを送って良いのか。さよならと言う六道くんを、まだ一緒にいたいと引き止めて良いのか____私は解らない。

(それに六道くん冷たいもん…直ぐに怒るし、好きって言ってくれないし)

気づけば頭の中は六道くんに対する不満でいっぱいになる。そうやってもんもんとしていると定員さんがやって来て営業を受けてしまった。どうやって断ろうか困ったが、気づけば私はそれを指さしていた。嗚呼もう、私ってばほんと何やってるんだろう。

「これ、下さい」





「___で、貴方たちは隣町のこんな辺鄙な他校にまで一体何をしに来たんですか?」

にっこりと___輝かしいほどの笑顔で笑う六道骸に、態々隣町からやってきた他校の生徒である沢田綱吉はとても居た堪れなくなった。ああもう、こうなると思ったから嫌だったのに…!!そんな彼の苦悩に反して、両サイドに立つ獄寺隼人と山本武は陽気なものだった。

「手前ぇ10代目になんて口の聞き方してんだよ!!ファミリーの一員としてボスがこうして態々顔を出して下さったんだぞ!もっと感謝しやがれ!」
「ハッ! 僕は君たちの仲良子よしのファミリーの仲間になった覚えはこれっぽっちもありません。今の君の台詞で解ったことと言えば、君の頭が大層残念な出来であること位です」
「えーほら、六道。一緒に10年後に行ってどんちゃんしたり、坊主たちの代わりに戦争ごっことかしたじゃん。思い出せよ〜」
「もしそれが冗句の類でないのなら君の頭は獄寺隼人以上に残念ですよ、山本武」
「えーそっかな?」
「馬鹿にされてんだよ気づけこの野球バカ!!」

「ツナ、あの馬鹿二人を止めろ。このままじゃ埒が明かねぇぞ」
「またそうやって面倒なことをオレに押し付ける…」

早く行けとがしがし小さな足と見合わない強力で促して来るリボーンに半泣きになりながら、綱吉は渋々口論をヒートアップさせる三人の元へとお邪魔した。

「あーっと、二人ともお、落ち着いて…今日は六道と喧嘩するために来たんじゃないんだから」
「10代目っなんてお心の広い…!」
「あ、そうだった。ついつい楽しくて目的忘れてたのな」
「? 僕に用事があって来たんですか…酔狂な人ですね」

訝しむようなオッドアイに見据えられ綱吉はアハハと情けなく笑った。

「で、なんですか用は。くだらない内容でしたら即刻殺しにかかるのでそのつもりで」
「ええっオレ用事一つに命かけなきゃいけないの!?」
「当たり前でしょう、この僕に時間を割かせているんですから」

腕を組み当然とばかりに言う六道に綱吉は眩暈を感じた。お前はうちの風紀委員長様ですか!とツッコミたくなるのをぐっと抑え、じぃいいいと見てくる視線にMPを削られながら鞄からあるものを取り出す。

「えっと、これ…」
「僕はチョコレートの方が好きです」
「第一声がそれ!?」
「本音を言ったまでです、で、それはなんですか? アルコバレーノの愛人特性の毒入りクッキーか何かですか?」

そう言って、綱吉が取り出した袋詰めされたクッキーを見る六道に綱吉は一瞬迷ってから告げた。

「お前…今日誕生日だろ、」
「!」
「凪に聞いたんだ。それで…お前には色々お世話になってるし…これからもお世話になると思うし、だからお礼を兼ねて来たんだ」
「六道、おめでとうなのなー!」
「チッ 10代目の手製だ大事に食えよ」

「___君たち、」

ふっと顔を和らげた六道に、綱吉は一瞬サプライズの成功を夢見た。

「心底迷惑です、今すぐ自分たちの家に帰って下さい」

所詮は夢は夢であった。

「て、テメェー六道骸ぉおお!」
「俺一瞬うるって来ちゃったのに台無しなのなー」
「悪かったですね。でも解ったでしょう、君たちが祝おうとした人間はそういう奴なんですよ」
「でも俺、そっちの方が六道っぽくてしっくりくるのな。さっきのはちょっとらしくなさ過ぎて気持ち悪かったぜ!」
「…君は真症の馬鹿なのか、天然を気取った腹黒なのか…僕は本当に測りかねますよ」
「?」
「馬鹿にされてんだよ反論しろ!!」

なんかもう誕生日祝いという雰囲気ではなくなった。
行き場のなくなったクッキーを片手に第二ラウンドに突入した三人を遠い目で見つめていると、不意に隣で楽しそうにニヤニヤしていたリボーンが反応した。ぱっと後ろを見るリボーンに何かと綱吉も振り返った先で、珍しい人物と出会った。

「! 君は、」
「久しぶりだな、ひつき」

「こんにちは…えっと、六道くんの友達でしたよね?」

そう、名前はひつきと言った。綱吉と同じ並盛にある私立女子中に通う同い年の女子、…驚く無かれ、彼女があの六道骸の彼女である。おそるおそると黒曜の校門から綱吉たちの所に歩み寄ってくるひつきに綱吉はどこか胸の辺りがほっとするのを感じた。ひつきは全くマフィアだとか死ぬ気の炎とかリングとか関係ない、正真正銘の一般人だ。骸とは似ても似つかないありふれた雰囲気の普通の少女で、綱吉は自分とどこか似た雰囲気の彼女に友好的だった。

「うん、覚えているかな?俺は沢田___」
「ひつき!! こんな所で何をしているんですか!?」



Nobody’s gonna live for you. -- 未

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