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「なんか、最近蔑ろにされている気がする」

そう言って、大和守安定がぷくりと頬を膨らませる。ぎゅうとわたしのクッションを抱きしめて頬を膨らませる様子は、わかりやすく不機嫌を主張していた。

「安定?」
「…」
「やーすーさーだー?」
「…」

声をかけても無視、ついにはぷいとそっぽを向かれてしまった。これは一大事だ、作成していた報告書を放ってそろりと彼に近づく。それに気づいた真っ青な瞳がわたしを見るので、膨らんだ頬に指を突き刺して潰す。

「やめて、僕いま怒ってるんだから」
「そう不貞腐れるなよぉ〜 ごめんって〜」
「ヤダ」

ぶんと頭を振って手を解かれてしまった。ふわふわのポニーテールが相まって、ポメラニアンがぶるぶるしているようにしか見えない。思わず顔がにやけそうになるが、それをしては更に機嫌を損ねてしまうだろう。ごほんと、少しワザとらしい咳払いで誤魔化して、安定の傍に座る。

「どうしたら機嫌直してくれる?」
「…」
「一緒にデートしようか」
「! いいの」

先ほどまでの不機嫌が嘘のように、安定は身を乗り出して近づいてきた。瞳を大きく見開いて顔をキラキラと輝かせる様子の可愛らしいこと。うんと頷いて見せれば、安定はがばりと立ち上がった。

「僕、僕ね りおんと行きたいところ沢山あるんだ! このまえ清光と京都の観光ガイド買ってね、美味しそうなお団子のお店とかチェックして」
「うん」
「りおんが好きそうな雑貨店も、それと新選組のミュージアムが新しくできたんだって。一緒に行きたい!」
「うんうん、いっぱい行こう。安定の行きたいところ、一緒に行くよ」

「〜〜〜っ りおん!」

感極まった安定がクッションを放り投げて抱き着いてくる。かっこよく抱き留めることは難しくて、そのままどすんと畳の上に倒れた。頭打った、地味にいたいなこれ。

正直かなり重いが、わたしにぎゅうと抱き着いて頭を摺り寄せてくる安定を引きはがすのは忍びない。彼を引きはがそうとした手は、代わりに彼の背に添えた。お返しだと強く抱きしめれば、「ふふ」と安定がくすぐったそうに笑った。

「大好きだよ、りおん」
「わたしも」

前髪を分けて額にキスすれば、安定ははにかんで頬を明るめた。

大和守安定が不貞腐れているようです

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