REQUEST | ナノ
視力矯正魔法というものが存在する。

その魔法は、裸眼のまま好きなように視力を調整できるものだ。杖をクイックさせればあら不思議、ボヤけた視界があっという間に視力2.0の世界に早変わり!…とっても便利な魔法だが、わたしはそれに異を唱えたい。なぜなら、

(メガネは婦女子の永遠の萌えアイテム…!)

眼鏡、それはリリンが生み出したこの世の神秘だ。
なにが良いのかと言われれば何も言えないがとにかく、良い、のだ。銀のフレームも、黒縁も、ちょっとチャーミングなオシャレ眼鏡も大好きだ。イケメンにもよし、フツメンにもよしの万能アイテム。わたしは眼鏡の奴隷だ。望まれるなら一生を捧げても構わない。

ゆえに、わたしは矯正魔法に異を唱える。邪道だ。あれは神の記した聖なる教えを阻む、悪魔の呪いに等しい。アンチ・矯正!イエス・眼鏡!全てのイケメンに眼鏡を!

そんなわたしなので、暇つぶしに寄った図書館でトム・リドルon眼鏡を発見してしまった瞬間、悶絶発狂せざるを得なかった。

(メガネっ、め、眼鏡神が、いや女神が降臨された……!!)

道のど真ん中で蹲り、見えない後光に打ち震えるりおんは酷く怪しかった。だが、通り行く生徒は、それがりおんだと解ると「ああまたか」と去って行く。りおんはホグワーツ切っての変わり者として有名だった。

そうしてざわついた空気を感じたのか、リドルが読んでいた書物から顔を上げた。クールな顔が顕になり、イケメンon眼鏡の全貌が明らかになる。鼻血吹くかと思った。

ふわりとゆれる黒髪に、すうと通った鼻梁。それらを色取る銀フレームのスパイスは、彼のクールな姿によくそぐう。まるで眼鏡をかけるために生まれてきたようだった。

込上げる様々な激情に身を奮わせていると、不意にリドルが笑った。そうしてくいと掌でりおんを招く。もちろん飛んで行った。眼鏡神のお呼びとあればどこへでも!

「やあ、ミスりおん。今日も可愛いね」
(めめめめ、眼鏡神にかかかわいいなんて…!)
「顔が赤いね…どうかしたかい?」

あなたがいろいろ眩しすぎるんです!!!

「ちょっと…暑くて。ここは暖房が利いてるのね」

もちろん。そんなこと馬鹿正直に言わない。
だらだらと汗をかきながら、りおんはにっこりと笑みを浮かべて見せた。そんなりおんに、リドルも微笑む。

「ミスりおん、いまは4月だよ」
「ソウダネ!フシギダネ!」

りおんの頭の中で、母国のゲームのモンスターが「ダネー」と鳴いた。

「クス、…君は本当に面白いね」

ぐっと拳を握りしめて言ったりおんに、リドルが楽しそうに笑った。
その笑みにどきりとする。…ふ、普通に笑うんだよね。コレが作り笑顔なんて…「原作」を知ってないと解らないよ。ドキドキする胸を必死に押さえつけながら、パタパタと手で仰ぐ。そんなりおんを、リドルは黒い目でじっと見つめた。

「えっと、リドルくん…今日はどうして眼鏡なの?何時もは魔法で済ませてるよね?」
「うん? ああ気分だよ、…似合わない?」
「ううんそんなわけない!むしろ似合いすぎてどうしようってレベルゥ!!?」

感極まった賛美は、ガンッと頭を襲ってきた衝撃に遮られた。
マダムの魔法で飛んできたインク瓶がりおんの頭を殴打したのだ。痛みに蹲り頭を抱える。抑えた掌にぬるりと伝わるものがある。あ、これインクぶっかかった。

「大丈夫かい、りおん」
「さ、触らないでリドルくん…インクついちゃう…」

訴えもむなしく、頭を抑えるりおんの手に冷たい指先が触れた。

「リドルくんっ、」
「君の身に比べれば些細なことさ、…さ、診せて」

指先に優しく促され手を外すと、片膝をついたリドルがりおんの頭を覗きこんで来た。ふわりと漂って来たエキゾチックな香りにりおんの心臓は破裂寸前だ。え、やば、きょ、きょうなんのヘアスプレーしたっけ?頭臭くないよね!

「…少し、赤くなってるね」
(ひ、こ、声が、ちか…!)
「おいで。医務室に行こう」

高鳴る鼓動と甘い言葉に、争う術などあっただろうか。
優しさばかり詰め込まれた言葉に浮かされて、りおんは素直にその手に縋ってしまった。彼があのトム・リドルであることも忘れて。








「ひっ、あ!」

声が、反響する。

「あっあっ、ぅあっや、やらっ__!」
「『イヤ』? どの口がそれを言う」
「んぐっ」

ぬるりと回って来た指がりおんの口を暴く。絶え間なく響いていた嬌声が途絶え、ぱんぱんと打つような音が大きく響いた。生々しいその音が、音と合わせて押し寄せる甘い痺れが、りおんの溶けきった思考に残る僅かな理性さえも奪おうとする。

「んっぐ、うあ、あ、あん」
「そうだ…大人しくしていろ」
「ひゃんっ!」

くちくちと舌を弄った指が抜けると、ぐんっと腰を押し付けられた。りおんのぴっちりと閉じられていた場所を暴き、今や我が物のように好き勝手蹂躙している熱い肉棒。その硬い先端が内膣を擦りながら、ぐりぐりと子宮を弄る。さっきまでは確かに、内臓を抉られる様な不快感に囚われていたはずなのに、何故か体はぴくぴくと跳ねた。そして、きゅうと肉棒を締め付けてしまう。そうして露わになる侵入者の全貌に、ますます身体を這う快楽が色濃さを増す。

「クス」

リドルが笑う。太腿を撫でる手が怪しく蠢く。ああこの手に、わたしは騙されてしまった。




りおんが連れてこられたのは見たこと無い部屋だった。興奮から道のりをまるで覚えていないりおんは、ここはどこか、どうしてこんな場所に連れて来られたか解らず戸惑いからリドルを見上げた。その先で、リドルの目が怪しい色を浮かべた。それが赤い色だと認めた瞬間、りおんの頭はまっしろになった。

塞がれた唇に、逃がさないと力強く抱き寄せられた腰に、内側を焼くようなリドルの目に、

あっさりと、墜落してしまった。
赤い実を食えと囁く蛇のように、甘くりおんの名を呼ぶ彼の声に、文字通り腰が砕けてしまったのだ。

逃げようにも、逃げられない。顔を赤と青と忙しなく色を変えるりおんから、リドルはまず衣服を没収した。そうして晒された体を丹念に愛撫し、りおんの女を奪ったのだ。驚くほどにあっさりと、しかし逃げられない情熱を持って、リドルはりおんを”女“にした。

「あんっあんっあ」
「んっ」

リドルが小さく声を零した。同時にたっぷりと熱いものが吐きだされた。それがなにか、なんて考えるまでもない。びくびくとリドルのそれがりおんの中で跳ねる。びゅっと音が聞こえてきそうだった。とろとろと内側を零れ落ちるそれが、子宮口にねっとりと絡み付くのを感じてりおんはぶるりと体を震わせた。

(り、リドルの精液が…なかに…)

全てを吐き出してずるりと穿ちを抜かれるころには、りおんの理性は完全に奪われていた。急激な運動と突然の初体験、様々な衝動に身を焦がされたりおんは、ぐったりと身を投げ出した。あ、まるで、レイプされたみたい。

「りおん、」
「…ぁ、」
「僕が好きかい?」

レイプ犯が、真っ赤な目で訊ねてきた。
冷たい手がゆるりと汗にまみれたりおんの頬を撫でる。まるで蛇の様に身体を弄る。瞳の赤が、表情だけでは汲み取れないリドルの高揚を教えてくれる。興奮を、身を焼くような焦がれを、感じる。ぶるりと見果てぬそれに体が震えた。

「愛してると、言ってごらん?」

ぬるりと指が唇を撫でた。眼鏡はどこかにいってしまった。それでも彼は、美しくて、最高にクールだ。

「もっと…ちょーだい…」
りおんの答えに、リドルは楽しそうに笑った。

トム・リドルに騙される

back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -