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夢ノ咲学院3-Aとわらびもち


「あ、ちーちゃん」
「どうした、水梨」

朝礼終わりに、ふと思いだして声をかける。前の席に座る守沢千秋は、すぐに気づいて振り返ってくれた。

「これありがとう、面白かった」
「おおそうか!それは良かった!では次のDVDは明日持って来よう」
「えー 何お話し? 俺もいれてよ」

わいわいしていると通りすがりの羽風薫がつれた。ガタガタと隣のイスを引き寄せて腰かけることから、居座る気満々らしい。「なにそれ」とTUTIYAのくしゃくしゃの袋に包まれたそれを興味深そうに指さすから、おわたしはさっと中身を晒した。

「仮面ライダー」
「仮面ライダーだぞ!」

「…俺、二人のそういうところ嫌いじゃないよ」
「別に羽風に好かれても嬉しくない…」
「ことっちなんでそんな俺に冷たいの? なんで?」
「フラれたな羽風!」
「もりっち黙って」
「そんなことよりわらびもち食べようよ。きな粉たっぷりの駅前で売ってたから買ってきたの」
「美味そうだな!」
「あと三分くらいで先生くるけどいいの?」

羽風は意外と真面目な男でつまらない。のりのりでわらびもちの準備をしてくれる千秋は好きだ、ぶっとんでノリが良い。がさごそと紙コップにお茶のペットボトルをとぷとぷと注いでいると、「ちょっとまってもりっち!その破り方は悲惨な未来しか見えないから!落ち着いて!!」「むっ 安心しろ羽風!この程度流星パワーで一網打尽だ!」…あ、これ逃げた方がいいやつ。

さっと集団から抜け出して教室を飛び出そうとしたら、瀬名泉と遭遇した。

「あ、いーちゃん。重役出勤だね、何様?何様なの? おはようございます」
「はあ? 何その言い草、チョ〜ウザい。 モデルの仕事があって遅刻しただけなんだけどぉ? 先生には連絡済みだから問題ないしぃ おはよ〜」
「ではさらば」

育ちが良い瀬名は扱い方さえ覚えれば普通に良い子である。だっと逃げるわたしに、瀬名は「はあ?」訝しげな顔をしていたがわたしはそれどころじゃない。数秒後、パアンッ!!!!という大よそ袋が破けたとは思えない破裂音と共に「守沢ァアア!!!」という聞きなれた音の怒声が廊下に響き渡った。正直すまんかった。

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