OTHER JUMP | ナノ

白石蔵ノ介にゃんこがお嫁さんを貰う




ちわっ。うちは白石由香里。大阪出身の四天宝寺中学っちゅうトコ通っとる2年生、ピッチピチの女子中学生やで。うちんオカンは元モデルやねん。その血をごっつ受け継いだうちはもう学校じゃモテモテやねん。それに頭も運動神経もええねんで!友達もいっぱいおるねん!そんなまあ、いっちゃ完璧なうちなんやけど…最近な、ちょお悩んどるねん。それもな、うちの猫ちゃんのことやねん。うちが小さいころからおる猫で、名前は蔵ノ介言うんや。ミルクティー色の綺麗な猫ちゃんなんやで!まあ、そのクーちゃんなんやけど。クーちゃんはもうお年頃やねん。つまり、そろそろお嫁さんあげなねぇって話しになったんよ。そんで、オトンとオカンと姉ちゃんとうちで緊急家族会議を開いたんや。まあ、クーちゃんは美人さんやし、募集すればお嫁さん候補殺到すんのは間違いないんやけどなあ…。ウチ以外の家族はそういうサイトに登録して募集するって意見なんや。つまり、ちょっと「それどないなん?」て思うとるのはウチだけっちゅう話しやねん。まあ、それでもエエんやけど。なんかなぁ、引っかかるねん。ホンマもう「それどないやの?」みたいな。でもな、これ以上伸ばしてクーちゃん待たせるのもな___

「にぃ」
「ん?」

そんなん考えとったら、なんや声が聴こえた。ちっこい頃から猫かっとるウチには直ぐにわかった。これはネコちゃんの鳴声や!「にぃ」声を頼りに周りを見渡せば直ぐに見つかった。おった。

「にー」

うあわ、めっちゃカワエエ!にぃにぃ鳴いとったんはお前か。真っ白な毛のふかふか子猫ちゃんや。うわあ、うわあ、めっちゃカワエエ!

「こんな所でどないしたん?」

ちいさな体に誘われて近くに行けば、直ぐわかった。子猫の近くに倒れ取るダンボール。ああ、この子捨てられてもうたんや。

「にぃ」
「酷いな、」

見ればホンマに小さい。真っ白で頼りなくて、きっとお腹空いとるんやろな。にーにーないて、頭なでてやったらぺろぺろ舐めてきよった。こんなに弱っとるもん…きっと、あと二日もすれば死んでまうやろ…な……、

そんなことぼおっと考えとって、はたと閃いた。閃いてもうた。あかん、今日のうちさえとるわ。







俺は蔵ノ介、白石宅の猫ちゃんやでー。んでもって、今はウチの妹の帰り待っとんねん。妹ちゅうても俺の妹やのうて、白石ん家の妹ちゃん。末っ子で由香里ちゅうねん。これがとんでもないお転婆娘で、昔は苦労したでぇホンマ。まあ、今も対して変わらんのやけど、それでもまあ大人しゅうなったほうやな。まあ、そんな話はどうでもエエっちゅ話しやな。うちの姉貴とオトンは働いとって帰り遅いねん。オカンは町内会でおらん。つまり俺ひとりやねん。ぼっちや。やから由香里待ちや。俺ん飯くれんの由香里だけやねんから。あーはよう帰ってきてや。俺、おなかぺこぺこや。お昼ねも飽きたっちゅーねん。

この時間帯一番日の当たる場所でごろごろしとったらバタバタちゅう煩い足音が聞こえた。あ、こりゃ由香里やな。窓越しでも判るわ。なんやエライ慌てとるな。あ、さては俺の飯思い出したな。おお!由香里エエ子や!よっしゃ、此処は俺が可愛らしゅう鳴いてお出迎えしてやろ。出血大サービスや。玄関に向かって歩いとったら丁度扉が開いた。ナイスタイミングやな。

「由香里おかえりー」
「ああ、クーちゃん邪魔やっどいてどいて!」
「っ___!!」

なっ…な…っ!なんやねん!ちょ、危ないやろ!踏まれるところやった!俺の完璧な反射神経がなかったら自分俺のおてて踏んどったで!!!一つ文句言うたろうと見れば、由香里はどたどたと洗面場でなにかしとった。何やねん、一体…。まあ、一応俺オスやし。由香里も女の子やからな。洗面所入られたら下手にお邪魔できん。種族ちごうけど、まあ俺なりの優しさや。感謝しぃや。ま、出てきよったら即行で文句ぶつけたるけどな。あーホンマはらへった。

由香里が戻って来るんごろごろ待っとたらがらがらっちゅう音した。お、出てきたな。リビングの入り口を見れば、丁度 由香里が入ってきよった。なんや嬉しそうに真っ白い塊を抱いて。なんやアレ、タオル?

「クーちゃんクーちゃん!」
「なんやそないに慌てて、どないしたん?」
「見てやっふふクーちゃんきっと驚くで!」

そういって由香里は抱いていたタオルを床に降ろした。なんやねんホンマ。ただのタオルん塊やないか。そう思うて覗き込んだらタオルがもぞって動きよった。うわ!び、びっくりさせんなやっ、なんや?なんかおるんか?そう思うて今度はそっと覗きんこんだらなんか出てきよった。

「な、カワエエやろ!」

真っ白ん中から真っ白なもん出てきよった。なんやちまい体でふわふわで、シャンプーのええ香りがしてほんのり桃色で真っ白でふわふわしとって、え、え、なにこれ、マシュマロ?

「…」
「…」
「…」
「…にぃ」

水色の瞳が俺見とった。んでもうて鳴きよった。したらナンや胸ん奥がきゅんってした。え、きゅんって。え、え?

「さっき拾って来たんや、なんや捨てられててな。今日からウチん家の家族やで。名前はな、お風呂で考えとったんやけど、まちなんてどないやろ。カワエエ名前思わん?っと、ウチはまちのご飯用意しな!クーちゃん、まちと仲ようするんやで!」

なんや由香里がぐちゃぐちゃ言うとったけど、あかん、なんもわからんかった。よ、よう解らんけど、これ猫やろ?由香里が連れてきたん?ってことは、ウチん猫になるんか?頭ん中でんなことぐるぐる考えよったら真っ白のもこもこがもぞりと動いた。な、なんや。そうおもてじっと見取ったら水色ん綺麗なおめめが俺んことみて、

「?」

こてんって、顔傾けよった。きゅん。

「ここ…どこ?」
「え、あ、ああ。此処は俺ん家や」
「?」
「あ、せ、せやからな。自分は由香里が拾うてきたんや、多分…んでもって、此処で暮らすんや…きっと、あ、俺は蔵ノ介言うもんや。自分は?」
「さっきの…まち?って呼んだ」
「さ、さよか、ほならまち。白石家にようこそ、これからヨロシクな」

そう言って笑えば、まちはふにゃって笑った。ふにゃ、ふにゃって…!なんやこう…きゅんって、きゅんてする。「よろしく?」って笑うまちにま、まあとりあえず、歓迎するっちゅうことで頬ぺろって舐めたった。あ、甘い。なんや止められななってぺろぺろ舐めたったらまちがちいこい体ぶるぶる震えさせてなんやぞくぞくして、もっと、こう…体中舐めたろか思た。あ、あれ?俺こないなキャラやっけ…?

「お、なんやクーちゃん、まちん事そないに気に入ったん?」
「えっ…」

気付いたらまちん体押したおしとった。あ、あ、由香里、ちゃうねんで!これはその、あれ?

「でもいったん離れたって、まちはご飯の時間やねん」

そういって由香里は俺ん体持ち上げてひょいとソファーに投げよった。え、なにすんねん。えらい真っ白のふわふわが恋しゅうてすぐさま戻ろうとしたけど、それは由香里に抱き上げられてもうた。あー!何すんねん!俺かてまだ抱き上げとらんのに!

「ほら、ミルクやで」
「んー」
「いっぱい飲みぃや」

何時も俺が使うとる皿でまちが一生懸命ミルクのむ。あ、お腹すいとったんか。そう思うて邪魔せんようにそっと近くに寄れば「あ、クーちゃん横取りはあかんで!」と由香里に怒られた。な、そないな事せん!由香里のアホ!俺は純粋にまちん事が心配で来ただけやで!

「あ、あふ」
「あーそないに急がんでも沢山あるから、ゆっくり飲みや」
「ん」

ミルクん所為でまちの顔は真っ白が真っ白に染まっとった。そないに急がんでもええのに。あ、でもカワエエな。んくんくってミルク飲む姿めっちゃそそるわ。こんな顔で俺のも一生懸命に飲んでくれたら最高に絶頂(エクスタシー)なんやろな______ん?俺、今なに考えた?

「ふはっ」
「っ!___お、おお、どないや、お腹いっぱいになったか?」
「ん、いっぱい」
「おん、そりゃ良かったな」

満足そうなまちにそう言うたら「んー」ってなんや鳴いた。え、「どないしたん?」って訊けば、「つめたい」って。あ、ああ、そりゃそうやろ。自分の顔ミルクでいっぱいやで。

「んーっ」
「ああ、顔ふったら床が汚れてまうよ。ほら、こっち向きや」
「ん?__あふ」
「んっ…じっとしときや」

ミルクまみれの顔をそっと舐めて綺麗にしたれば気持ちええのか「んー」って鳴いた。ちらりと見たら真っ白の尻尾がふらりと揺れ取った。なんやえらいきゅんきゅんして、何度もまちん顔舐めてもうた。あ、あかんっ…これ病み付きになってまう。白い体を舐めて、ちまい体さすって、ふるふるする尻尾絡めてやっとったらまちがこてんって体倒してきよった。なんやかて見ればすやすや規則正しい寝息が聞こえた。あ、寝てもうたん?

「ふふ、なんや仲良しになったみたいやな、クーちゃん」

小さな体が冷えんように寄りそっとたら由香里がなんやにやにやして言うた。ま、まあな、ほら、この子ようするに俺の妹分やろ?大事にするんは当たり前や、俺先輩やし。

「良かったぁ、ちょっとどきどきやってんで。でもコレで一安心やな。はよ、姉ちゃんとオカンたちに電話せな。皆、喜ぶできっと。あ、せやせや肝心の当人に言うの忘れ取ったわ」
「なんやねん?」
「まち大事にしたしや。クーちゃんのお嫁さんなんやから」
「由香里…グッジョブ!

そんなこんなで、俺はまちを嫁さんに迎えた。あーもう俺は幸せもんや。こないにカワエエお嫁さん貰えるなんて夢にも思わんかった。まちんこと捨てよった奴は許せんけど、きっとそれも俺と出会うためやったんやな。だから怒らん。そんで傷ついたまちは俺がたっぷり時間かけて癒したるわ。ほんでもってとろとろんでろでろになるまで甘やかしたらな。そのちいこい頭ん中、俺んことでいっぱいにしたるわ。そう誓って、俺はちゅっとまちん額に口付けた。あー…はよヤりたいわ。

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