ここはどこだ…? ふと気が付くと見慣れない風景が広がっていた。
『えええええ江戸じゃないよねここォォ!!』
あたしの隣を通りすがった男が不審そうな目であたしを見てきた。やべ、なんか視界霞んできた…。 …とりあえず落ち着こう。落ち着いてタイムマッスィーン探そう。いやいやそうじゃないだろ落ち着けあたし!!
今の状況を整理しようじゃないか。 気付いたら知らない場所にいた。何故か幼くなっている。15、6歳くらい。さっきから着物を着た人がいない。天人を見かけない。空に船がない。あたしに痛いくらい視線が突き刺さる。
この状況からして、もしかしたらあたしは、
『トリップ、した………?』
自分の導き出した結果は何とも馬鹿げていたけど、これしか考えられなかった。 あたしがトリップしたとしたらまず初めに衣住食の確保だ。誰かあたしに恵んでくれる人はいないのだろうか。
ドン、 そんなことを考えていたら背中に衝撃が来た。何かと思って振り返るとそこには明らかにガラの悪そうな男。腕には涙を浮かべた何故か裸の赤ちゃんが抱えられていた。そしてその後ろから走って来る男二人。
『あー…君アレか。誘拐犯か。もしくは超ショタコンの変態かそうか』
「ちげーよ!!つーかどけよ女!!死にてーのかブホッ!?」
『……あ、ごめん、なんかイラッときた』
無意識に男に踵落としをきめていた。 まあ、正当防衛ってことで。意識のない男に謝っておいた。
「ダーッ!!」
『ん?』
さっきまで泣きそうだった赤ちゃんは目を輝かせてあたしを見ていた。
「ベル坊――!!」
あたしが殴った男を追い掛けていた少年たちが走って来た。どうやらこの子の親?みたいだ。 目つきの悪い少年はベル坊と呼んだ赤ちゃんを抱き上げるとこっちを見た。
「助かったぜ、あんた」
『どーいたしまして』
「ダーブーッ!!」
「なんだ?ベル坊。この女のこと気に入ったのか?」
「アダブッ!!」
「そうかそうか」
赤ちゃんと会話をする男。通じてるのかアレ。隣にいたもう一人の少年が、嫌な予感がする、と呟いていた。
「なあ、お前名前は?」
『紅藤あげはだけど、』
「よし、紅藤。こいつの母親になってください!!」
「言うと思ったよ!!そーゆーのホントやめろお前!!あげはちゃんも気にしなくていいからね!?」
『いいともー』
「え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?」
あたしの返した言葉に銀髪の少年は驚きの声を上げる。それを無視してあたしは続けた。 だってせっかくここにカモ…いや、チャンスが転がってるんだし。最大限に活用しなければ。
『ただし、条件がある』
「条件……?」
『そう、あたしね、住む場所も当てもないんだ。だから、あたしをあんたのうちに住まわせて』
「いいともー」
さっきのあたしと同じ返事を少年はした。無表情で。 これでともかく生きていくには問題ないな。よかったよかった。
「じゃ、行くか」
「アーイッ」
『うぃー』
あたしたちは歩き出した。
「ちょっと待てェェェエエ!!」
「なんだよ古市」
「なんだよじゃねーよ男鹿!!なんでお前らそんな軽いノリで話してんだよ!!てゆーか、なんでお前のところばっかり美人が集まるんだよ!!」
「黙れ古市」
『そうだそうだ、黙れ古市』
「ひどい!」
こうしてあたしはベル坊の母親代わりとして高校生男鹿辰巳と古市貴之と出会ったのでした。
迷子女、拾われる (なんで男鹿ばっかり…!気に入らん!!) (まあまあ、古市。あんたも十分カッコいいから気にすんなって) (え……) (と、読者の中には思っている人がいるかもしれない) (…………)
−−−−−−−−−−−−− 銀魂×べるぜバブでした。 本当はもっとちゃんとした終わり方にするつもりで考えてたのに、途中で力尽きた…。 あげははなんやかんやで男鹿と古市と一緒に石矢魔高校に通い始めることでしょう。
男鹿と古市好きです。二人ともイケメン…!!
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