「あげはっちー!!」



そう叫んでこっちに向かってくるのはこの学校のバスケ部エースにしてモデルの黄瀬涼太。
手を振って走って来る姿はまるでワンコだ。




『……何、黄瀬』


「一緒に黒子っちのとこに遊びに行かないッスか?」


『行かないし、誰だよ黒子っち』




女の子なら一発でおちそうな笑顔で話しかけてくる黄瀬。
……うん、カッコイイと思うよ?でもさ、もうちょっと場所考えようか。
ここ廊下のド真ん中だから。女子の視線が痛いからァァァ!!


いたたまれなくなったあたしは渋る黄瀬を軽く流して、帰ろうと歩き出す。




「行こうよあげはっちー」


『だーかーらっ行かないって言って…「ケーキおごるって言っても?」何やってんの黄瀬。早く行くよ!』


「……(よっしゃ!)」




心底面倒くさかったが、ケーキをおごってくれるというなら話は別だ。
後ろで何故かガッツポーズしてる黄瀬を無視してあたしはスキップで昇降口に向かった。


――――…


『セイリンコウコウ?』


「そうッス。そこに黒子っちと火神っちがいるんスよ」


『へー』




黒子っちとやらの通っている学校まで二人で並んで歩く。
その間黄瀬が黒子っちのすごさやら、影の薄さやらいろいろ教えてくれた。


しばらく歩けば見えてくる校門。
視線を感じつつもあたしたちは校門を通り過ぎた。


黒子も黄瀬と同じバスケ部らしく、体育館に向かう。
体育館の中を覗けば、何人かの男子がいた。
うわー黄瀬もデカいとは思ってたけど、ここの奴らも相当デカいな。




「黄瀬君?」




中の様子をうかがっていると、いきなり声をかけられた。
全然気づかなかったから思わず変な声が出る。




『うおわぁっ!!だだだ誰!?』


「黒子っち!!」


『え、これ黒子っち!?ホント影薄いな!!』


「……黄瀬君、この人誰ですか?」




「おい黒子、何やってんだ…って黄瀬!?」




こっちに駆け寄って来たのは、赤い髪の男。
彼の声は体育館中に響き、黄瀬の存在に気付いた他の人も練習を中断しこっちに来た。




「なんでここにいんだよ、お前。てかこいつ誰?」


「今日部活休みなんスよ!だから黒子っちに会いに来たんス」




そう言いながら黄瀬はこっちに視線を移す。




「んでこっちはあげはっち。俺の彼女…<スパンッ>…痛い!!」


『誰が彼女だコノヤロー。あ、あたしは紅藤あげは。黄瀬の彼女とかマジ勘弁』


「ヒドッ!!」




自己紹介が終わった後、皆でしばらく話してから、練習の邪魔しちゃ悪いからとあたしたちは帰ることにした。
今は当初の約束通り、ファミレスでケーキを食べている。


そんな時、店の窓から見えた夕焼け空に目を奪われた。




「あげはっち」


『……ん、何?』




黄瀬の声で我に返る。




「あげはっちのいた世界ってどんなとこなんスか?」


『えー…うーん……黄瀬が過労死しそうな世界?』


「どんな世界!?」


だって、ねえ?
黄瀬は結構ツッコミ担当だから、あっちの世界に行ったらツッコまずにはいられないと思うし。




「でも、行ってみたいッスね。あげはっちのいた世界」


『ま、縁があったら連れてってあげるよ。まあその前にどうやって帰るかが問題なんだけど…』


「きっと帰れるッスよ」


『、』


「俺も協力するから」


『…フッ、期待してるよ』




そう言ってあたしたちは笑い合った。




空想世界の住人
(彼女のいた世界が)
(気になって仕方がない)



−−−−−−−−−−−−−
今回は銀魂→黒子でした。
ほとんど黄瀬しか出てないけど…。
このお話はあげはがトリップして黄瀬と出会い、海常高校に通っている設定です。
ちなみに黄瀬はあげはが他の世界から来ていることを知っています。


title:空を飛ぶ5つの方法




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