「万事屋に依頼たァ土方さんも随分あげはたちを頼りにしてますねィ」

「俺だってコイツらなんかに頼みたかねェんだよ」

『じゃあ来んな』

「うるせェェ!仕方ねーだろ!?うちじゃどうにもできねェことだってあんだよ!!第一近藤さんがなァ!!」


逆ギレか。…まあ、お金はもらえるんだし言うことはないが。


「近藤さんのせいにしてんじゃねェよ土方コノヤロー」

『そうだそうだ!死ね土方コノヤロー』

「よーしテメェらそこになおれ。二人まとめて俺が叩き斬ってやらァ」


土方さんが刀に手をかけようとしたところで、第三者から声がかけられた。


「ねえ、あげはさん。依頼って…?」

『え、あー…うん。まあ、ちょっと、ね』

「あげは、どもりすぎですぜ」

『うるさい』


コナンの質問にあたしは言葉を濁した。
彼がいくら名探偵とはいえ、体は小学生。おまけに好奇心の旺盛な子どもたちが周りにいるのだから迂闊に下手なことは言えない。


「ガキは知らなくていいことだ。行くぞ総悟、紅藤」

『「へーい」』

『じゃ、そんなわけでまた…「きゃあああああ!ひったくりよ!!」……』


あたしの言葉を遮って聞こえてきた悲鳴。あたしが反応するよりも早くコナンを始めとする少年探偵団が悲鳴の聞こえてきた方に走って行ってしまった。


「チッ…行くぞ」


子どもたちを追って走り出す土方さんのあとをあたしと総悟も追いかけた。


「どうしやす?土方さん」

「…もちろん捕まえる。ただし刀は抜くなよ」

「つまんねェや」


総悟が面白くなさそうに呟く。
そんな二人の会話を聞きながら走っていれば、少し前を走る子供たちとこっちの方に走って来るひったくり犯らしき男が見えた。
こりゃ、子どもたちの方が早く犯人と接触しちゃうな。


「紅藤、」

『わかってるっての。依頼料、はずんでくださいよ?』

「ハッ、テメェの働き次第だな」


あたしがニヤリと土方さんに笑いかけると、彼の方も同じように笑った。はたから見ればあたしたちの笑いはとても犯人を捕まえようとしている奴の顔には見えなかっただろう。

あたしはダンッと家の塀を蹴ると、そのまま勢いに任せて跳躍した。そして子供たちの前に躍り出ると先頭を走っていたコナンを持ち上げた。


「うわっ!ちょ、あげはさん!?」

『はいはい、ちょっと落ち着こうか君たち』


コナンが止まったことで他の四人も止まる。もともと哀はあまりやる気はなかったようで、あたしが止めても特には何も言わなかった。

あたしは道の隅まで子どもたちを誘導する。その横をひったくり犯が通り過ぎていった。


『あとは警察に任せときゃいいんだよ。…ねえ、総悟』


あたしは男が走って行くのを目で追う。その先には刀を構えて立ちはだかる総悟が見えた。
そして一瞬。瞬きの暇も与えないくらい早く。総悟は刀を鞘から抜かずに薙いだ。
倒れる男。宙を舞う奪われたバッグ。


『おーナイスキャッチ、歩美』

「えへへ」


バッグは歩美の腕の中にすっぽりとはまったのだった。


***


『さ、犯人も連行されたし、あたしたちも行きますか』

「バイバイあげはさん!」

「さようなら!」

「また今度刀触らしてくれよ!兄ちゃん!!」

「おう。土方さんがいねぇところでな」

「だから止めろっつってんだろうが!!」


あたしたちは口々に言い合って別れる。
その時コナンと哀の視線と交わった。あたしは二人の傍まで言ってかがむと二人にしか聞こえないように言った。


『あたしたちが怪しい?』

「あ、いや…「怪しいわ」…おい灰原、」

『だよねー…。やっぱそう思うよね。土方さんたちなんてただのチンピラだし』

「(仮にも警察をチンピラ呼ばわりって…)」

『でも、あたしたちがアンタらに危害を加えるようなことはないよ。絶対、ね』

「「………」」

『…ま、信じようが信じまいがどっちでもいいけどね』


あたしは黙ってしまった二人の頭にポンと手のひらをのせて笑ってみせた。




あくまで、これは人助け
(だから疑うのは勘弁ね?)


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×探偵が思いのほか好評でうれしいかぎりです!
今回は真選組の二人を出してみましたがどうだったでしょうか?
コナンたちが若干空気になりかけていましたが、人数多いと書くの苦手なんですよって言う…。


title:空を飛ぶ5つの方法




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