『………ここが黒の教団?』


異世界にトリップしたあたしは成り行きで出会ったラビと神田に連れられて黒の教団というところにやって来た。
一言で感想を言おう。


『悪の組織か!』
「あげは?いきなりどうしたんさ!?」
『あー…いや、率直な感想を言ってみただけ』


あたしたちの目の前にそびえたつ黒の教団。
どう見ても怪しさしか感じられなかった。


「コムイには話をつけてある。さっさと行くぞ」
『「へーい」』


神田につづいて、あたしとラビも教団に足を踏み入れた。

教団の中は予想通り広くていろんな人たちがいた。
あたしの服装が珍しいからか、それとも見ない顔だからかは知らないけど、たくさんの視線がこちらに向けられる。
それはあまり心地いいものではなくて。


『ねえ今どこに向かってんの?』


気にしないようにするために二人に話しかける。
質問したあたしを神田は一瞥してからそっぽを向く。

いや教えてくれないんかい!!
心の中で神田にツッコんでたらラビが答えてくれた。


「室長室さ」


――――

しばらく歩いて一つの扉の前までやってくる。
神田が無造作に扉を開けた。


「黒の教団にようこそー!!」
『うわ、あんた美人だね。名前なんてゆーの?』
「え、えーとリナリー・リーよ」
『リナリーかぁ。あたしは紅藤あげは。よろしく』

「僕のことは無視かい!?」


あたしは声のした方を向く。
そこにはあたしより少し年上っぽい二人の男がいた。
一人は眼鏡の巻き毛。一人は目の下のクマが目立つ。
ちなみに一番最初の言葉はこの眼鏡の言葉だ。


『何?眼鏡。あたしはリナリーとしゃべってんだけど。むさくるしい男(ヤロー)と話すより美少女と話した方が何倍も楽しいだろーが』
「うん、確かにリナリーは可愛いよ?でも僕ら仮にも初対面んんん!!」
『…ラビ、こいつ誰?』


対応に面倒くさくなったあたしはラビに任せることにした。
ラビはあたしの態度に苦笑いをしながら、コムイは黒の教団の室長さ、と言った。

なるほど、長というくらいならこいつは偉いんだろう。
だけど親しみやすそうな雰囲気を出している。


「ちなみにリナリーの兄さ」
『え…えええぇぇぇええ!!この眼鏡がリナリーの兄ィィィ!?』
「君さっきから失礼だよね」


その後なかなか本題に入らないあたしたちに、それまで黙っていた神田がキレた。
そこであたしたちは軽く自己紹介をして、部屋にあったソファーに座った。
室長の方はコムイ・リー、もう一人は科学班班長のリーバー・ウェンハムというらしい。




「……ふむ、つまりあげははこことは別の世界から来たんだね」
『そ、んで偶然出会った二人にここに連れて来てもらったってわけ』
「…うん、よくわかった。紅藤あげは、君を黒の教団に招待するよ」
『えらそうに言うな眼鏡』
「冷たい!!」


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