忘却の彼方 | ナノ


メーデーは届かない




エマージェンシーエマージェンシー。
どうやらあたしは本格的に巻き込まれてしまったようです。


***


『……まったくもって意味が分からない』


あたしは手の中にあるボンゴレリングを見て呆然と呟いた。


『だってリボーン、アンタさっきボンゴレリングは7つでもう守護者にわけられたって言ったじゃん!』

「ああ、7つのボンゴレリングはな」

『じゃあ、』

「お前のは8つ目、時には全てを染める"闇のリング"だ」

『はあ!?』


あたしは思わず声を荒げた。
いやだって…闇とかもう天候じゃないし。そもそもあたしに渡す理由が分からない勘弁してくれ。


『…もし、あたしが闇のリングを受け取ったとして、そしたらあたしもヴァリアーって奴らと戦わなきゃいけないの?』

「その心配はねーぞ」


あたしの問いにリボーンはニッと笑った。
あれおかしいな。戦わないから安心できるはずなのにまったくもって安心感がないや。


「お前のリングをよく見てみろ」


リボーンにそう言われて、あたしがもらった闇のリングをよく見てみる。


『あ、ツナたちのリングと形が違う…?』

「そうだぞ。それはハーフボンゴレリングじゃねぇ。正真正銘のボンゴレリングだ」

『…………』


え、ちょっと待て。これがもうすでに完成したリングということは……。


『ツナたちが勝とうが負けようがあたしマフィア決定!?』

「やったなあげは!」

『ディーノさんんんんん!?』


爽やかな笑みを浮かべて親指を立てるディーノさん。
何笑ってんの!?全然笑えねーよ!むしろ泣きそう!!


『第一あたしがマフィアとか…』

「だってお前、もう十分こっちに首突っ込んでるじゃねーか」

『それほぼアンタらのせいだけど』


確かにあたしから首突っ込んだこともあるけど、一番の原因はリボーンだと思う。コイツが来なかったらあたしは普通の学生生活を送れていたはずだ………多分。


「大丈夫だあげは。ツナたちは負けねーよ」

『いや、そーいうことを言ってるんじゃないんですけど………ああ、うん…なんかもういいや…』

「(遠い目をしてる…)」


ディーノさんの励ましはどこかズレている。あたしに味方はいないのかそうですか。


「それと念のためお前も10日後に備えて準備しとけよ」

『はあああああ…わかったよ。めんどくさ…』


リボーンの中ではすでにあたしはツナの守護者の一人になってるらしい。盛大なため息が自然と零れたが、ここは見逃してもらおうじゃないか。


「悪りーな、あげは」

『ホントにな。…まあ、あたしだってツナたちが危険な目にあってるのに見てるだけとか嫌だしいいけどさ』

「そうか…」


珍しく謝罪の言葉を述べるリボーンにあたしは軽く笑ってみせる。文句を言いつつも、お前は何もしなくていいよ、と言われなかったことに安心している自分がいた。


『じゃ、あたしは並中に向かうから』

「え、」

『え?』


どうしたんですかディーノさん。


***


『はあ!?ヒバリも守護者ぁ!?』

「ああ。で、俺が家庭教師な」

『マジですか…』


あたしとディーノさんは並中の廊下を歩きながら話す。
まさかヒバリまでツナの守護者だったとは…。アイツ群れるの嫌いなのに大丈夫か?
あたしたちは応接室の前まで来ると、ディーノさんが扉を開けた。当然そこにはソファに腰かけ、指輪を弄るヒバリの姿が。


「お前が雲雀恭弥だな」

「……誰……?」

「俺はツナの兄貴分でリボーンの知人だ。雲の刻印のついた指輪の話がしたい」


あたしはロマーリオさんの隣で二人の様子を見守る。ヒバリはあたしの方を一瞥してから、口元に笑みを浮かべた。


「ふーん、赤ん坊の…じゃあ強いんだ。僕は指輪の話なんてどーでもいいよ。貴方を咬み殺せれば………あとそっちのバカも」

『!?』


え、ちょっ…怖っ!アイツ、あたしを見る顔が無表情だったんだけど…怖っ!!
やっぱり連絡も入れずに遅くなったの怒ってたのか…。今度から必ず連絡しよう(とか思ってもいつも忘れちゃうんだけど)

そんなあたしをよそにディーノさんは立ち上がるヒバリに対して鞭を構える。


「なるほど問題児だな。いいだろう、その方が話が早い」


そう言ったディーノさんを見てヒバリもトンファーを構えた。






(あとでたっぷり話を聞かせてもらうよ、あげは)
(えええええええ)
((この二人どんな関係だ…?))



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