忘却の彼方 | ナノ


鳴り止まない警鐘




「なに…コレ……!?」

『指輪、だねェ…』


箱の中に収まっていたのは変わった形をした7つの指輪。
どうやら詳細はリボーンが知っているらしい。


「リボーンさんはわけあって戦えません。これを持って逃げてください」

「ちょっ、急にそんなこと言われても」

「ゔお゙ぉい。そぉいうことかぁ。こいつは見逃せねぇ一大事じゃねーかぁ。貴様らをかっさばいてからそいつは持ち帰らねぇとなぁ」


隠れていたあたしたちだが、あっけなく男に見つかってしまった。
男が持っているさっきあたしが投げた竹刀。それを見たあたしは気付かれないように薄く笑った。
そしてあたしはツナとバジルを庇うようにさりげなく二人の前に立つ。


『わあ、お兄さん。あたしの落とした竹刀拾ってくれたの?なんて親切なんだ。ただのうるさい男からちょっとランクアップして親切に見えないけど実は親切なうるさいお兄さんになったよ!』

「う゛お゛ぉい…お前これが親切に見えんのか…?眼科に行くことをお勧めするぜぇ」

『初対面に眼科紹介されたくねーよ』

「(何普通に会話してんのあげは!?)」


男は怪訝そうにあたしを見た後、ニヤリと笑った。


「女ぁ、お前面白いじゃねーか。さっき投げてきた竹刀(これ)といい、今の態度といい…何者だぁ」

『神様』

「嘘だろ」

『嘘だよ』

「……まあいい。ソレを渡す前に何枚におろして欲しい?」


そう言ってバジルとツナの方を見る男。それ、と言うのはバジルの持っている指輪の入った箱のことらしい。


「渡してはいけません、沢田殿」

「え!?ちょっ、なんなの?どーなってんのー!?」

『…………』


今のあたしは竹刀を手放してしまったため、丸腰だ。男から取り戻さない限り勝ち目はないだろう。
さて、どうしようか……。


「相変わらずだな、スペルビ・スクアーロ。子供相手にムキになって恥ずかしくねーのか?」


絶体絶命のピンチの場に響いた声。その声の主は…、


「ディ…ディーノさん!」

『うわ…ディーノさんマジかっこいい。マジイケメン』


現れたのは部下を従え、既に鞭を構えて戦闘態勢にはいっているディーノさんだった。
登場のタイミングがヒーローだわ。さすが。


「跳ね馬だと!?」

「その趣味の悪い遊びをやめねーっていうんなら俺が相手になるぜ」


スクアーロと呼ばれた銀髪の男はディーノさんの言葉に少し考える素振りを見せる。


「ゔお゙ぉい、跳ね馬。お前をここでぶっ殺すのも悪くない。だが同盟ファミリーとやりあったとなると上がうるせえ。今日のところはおとなしく……帰るわきゃねぇぞぉ!!」

「ぎゃっ」

『ツナ!』

「ツナを放せ!」 


スクアーロはツナの髪を掴んで持ち上げる。咄嗟にディーノさんが鞭で攻撃を仕掛けるが、それはスクアーロの爆薬で防がれてしまった。
煙が視界がクリアになったころにはそこにスクアーロの姿はなかった。


「お前たち!大丈夫か?」

『なんとかー…』

「相変わらず甘ぇな跳ね馬ぁ!」


声のした方を見ると、スクアーロはすでにあたしたちから距離を取った離れた場所にいた。


「今回は貴様に免じてこいつらの命はあずけといてやる。だがこいつはいただいていくぜぇ、ゔお゙ぉい」


スクアーロの手には先程までツナの手にあった箱が握られている。
煙に乗じて奪ったのかアイツ。


「ボンゴレリングが…」

「ボンゴレリング…?」

「それから、」


スクアーロと目が合う。あたしが眉をひそめて彼を見れば、スクアーロは薄く笑って何かを投げてきた。


『っ!…って、竹刀…?』

「次は叩っ斬ってやるぜぇ。じゃあなぁ」


あたしに向かってなんとも不吉な言葉を残して、スクアーロは去って行ったのだった。






(厄介なのに目をつけられたらしい)
(最悪だ……!)



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