彼のその眼は |
「僕からも聞いていいですか?」 『何?』 「あげは、貴女はボンゴレですか?」 その問いにどう答えるか一瞬迷った。 てか、コイツただの中学生じゃないとは思ってたけどマフィア関係かよ。 『……ボンゴレに入ったつもりはないけど、ツナとは友達だよ』 「そうですか…」 『てかさ、ボンゴレを知ってるってことはアンタもマフィア?』 「違いますよ。僕をあんなものと一緒にしないでもらいたい」 『じゃあ何でボンゴレを知ってんの?』 「クフフ、そうですねぇ…、」 六道は少し考える素振りを見せて、あたしを正面から見据えた。 「僕はマフィアが憎い。そしてこの世界も…」 『!……六道、アンタ、』 そう言ってのける六道の"眼"をあたしは知っていた。 だって、その眼は……。 「あげは!?」 『「!」』 突然聞こえてきた第三者の声にあたしと六道は同時に振り返る。 『ツナ!?アンタなんでここに…!?』 「それはこっちのセリフだよ!…あ、フゥ太見てない?」 『いや、見てないけど』 あたしはそう言いながら六道の方に目をやった。 六道は最初にあたしの前に出てきたような好青年風にツナに話しかけた。ちなみに右目はまた前髪に隠して。 「助けに来てくれたんですね!!」 「え!?」 『(わあ…アイツ演技派だなー…)』 じと目で六道を見れば軽く睨まれた。 言うなってことですねわかります。…まあ、ここで下手に六道を刺激してツナを危険にさらすわけにはいかないしいいけど。 「いやあ、助かったー…。一生ここから出られないかと思いましたよー」 「え――――!?」 ツナは六道を疑っていないようで、彼に流されるように会話を続けていった。 ……あのさ、二人ともあたしの存在忘れてるよね?あたし行ってもいいかな?早くヒバリを捜しに行きたいんだよね。 「…あ、そういえばこの方も僕を助けに来てくれたみたいなんですよ」 「え!?そうなの、あげは!?」 『いや、あたしはただここで迷子ってただけだけど…』 「「…………」」 『無言で顔を逸らさないでくんない?ぶん殴りたくなるから』 「怖いよ!」 「でも貴方たちみたいな人が来てくれて本当によかった…」 「他にもまだ女の人と赤ん坊もいたりするんですけどね…」 「え…赤ん坊?こんな危険な場所にですか?」 「ええ…まあ あいつは例外っていうか」 赤ん坊というのはリボーンのことだろう。六道の奴、やけにリボーンの話題に食いつくな。 「へえー、すごい赤ちゃんだなー!まさか戦うとすごく強いとか」 「まっ、まさかー。赤ん坊が戦うわけないじゃないですか……」 ツナはそう言いながらぼそぼそとリボーンに対して不満を漏らす。 「いや実際、今回直接戦ってくれたらどんなにいいかとは思うんですけどね」 「というと間接的になにかするんですか?」 「え…まあ…くわしくは言えないんですが…」 『ねえ、そんなことよりちょっと聞きたいことがあるんだけど、』 あたしが手を上げて言うと、二人はハッとしてこっちを見た。 …コイツらまたあたしの存在忘れてやがったな。 『…ここにヒバリっていう並中生が来なかった?』 「あ!そうだ、ヒバリさん!!」 「ここのどこかの建物に幽閉されています」 「やっぱりここにー!どこの建物かわかりませんか?」 「今、質問しているのは僕ですよ」 「え…?」 「その赤ん坊は間接的に何をするんですか?」 六道は雰囲気を変えて再度ツナに問う。その時隠していた右目が見えた。 「ひっ」 ツナも六道の雰囲気が変わったことに気付いたのだろう。小さく悲鳴を上げると慌てたように話題を変えた。 「そーだ!はぐれちゃったんで皆の所に戻らなきゃ。友達とまた来ます!行こうあげは!!」 『え、』 ツナはあたしの手を引くと来た道を引き返していった。 六道が見えなくなる直前、確かに目が合った。 『(ああ、やっぱり……)』 六道の眼は"師を奪った世界を憎んだアイツ"の眼と、 ……そして"昔のあたし"の眼に似ているんだ。 彼のその眼は (だから、放っておけないと思ってしまう) prev next |