『「「ツナ(沢田)がマフィアに狙われてる!?」」』

「そーだぞ」


部屋に響くあげは、銀時、高杉の声。
彼らの反応にリボーンはいつもと変わらぬ表情で頷いた。


『……で。それをなんであたしらに言うの』

「そうだぜ。そーゆーのはツナの守護者に言えよ」

「メンドくせェこと俺らに押し付けんな」

「お前らはともかく、あげはは闇の守護者だろ」

『うっ……確かに』


リボーンに指差されてたじろぐあげは。
確かに巻き込まれたとはいえ、自分は立派にツナの守護者の一人となってしまった。それは肯定しよう。


『そ、それでもさ。獄寺とか山本とかいるじゃん』

「アイツらにもちゃんと言ったぞ」


リボーンはそこまで言って、だが…、と言葉を濁らせる。


「今回は複数のマフィアが絡んでるからな…」

『…………』

「アイツらだけじゃ足りねーんだ」

『……はあ。わかったよ。それ引き受けた』

「おい、」

『いいじゃん、晋助。どうせヒマでしょ』


高杉は不満ありげな顔をしたが、あげはが了承したため引き下がったようだ。


「さすがあげはだぞ。おそらく明日の夕方、並中に来る」

『そこをあたしたち三人で叩けばいいわけね』

「頼んだぞ」

『おー…』


リボーンの話が終わると、あげはたちはツナの部屋から出て行く。
それと入れ替わりに、今回狙われている張本人、ツナが入って来た。


「?リボーン、何か楽しそうだね」

「まあな」


どこか楽しげな表情を浮かべるリボーンに疑問を抱くツナ。
そこでふと先程の彼女らの様子を思い出した。


「そういえば、あげはたちが俺のこと心配したような憐れむような顔で見てきたんだけど…」


リボーン、あげはたちに何か言っただろ。
ツナはリボーンの表情とあげはたちの態度が関係あると結論付けた。それはもちろん当たっているわけで。


「ああ。アイツらにお前がマフィアに狙われてるって言っといたんだぞ」

「ええ!?俺、また狙われてるの!?」


初耳なんだけど!と、ツナはリボーンに詰め寄る。
しかし当の本人は何食わぬ顔で衝撃的なことを言い放った。


「まあ、90パー嘘だけどな」

「あ、なんだ。よかったー…」

「…………」

「…………」

「…………」

「……え?」


ツナの声が響くのは3秒後。
あげはたちが騙されたのを知るのはまだ先のこと。


***


そしてあげはたちが嘘だと知らぬまま時間は過ぎ、夕方。


「あ、10代目!紅藤たち来ましたよ!!」

「坂田と高杉が戦うのを見るのは初めてだよな!」

「なんでそんな自然なの二人とも」


木の陰に隠れてあげはたちの様子を伺うツナ、獄寺、山本。ちなみにこんなことになっている原因、リボーンは姿が見えない。
まだこうなってしまったことに戸惑いを隠せないツナとは対照に、獄寺と山本はちゃっかり見学を楽しむつもりだった。

リボーン曰はく、複数のマフィアが来るのは嘘らしいが、一つのファミリーが自分を狙っているらしい。
本当にあの三人だけで大丈夫なのだろうか。
元はと言えば、自分がマフィアのボスだったばかりに彼女たちを巻き込むことになってしまったのだ。彼女たちには別の帰る場所があるというのに。
それでも渋々ながらも闇の守護者としていてくれるあげは。
なんだか申し訳ないような気がした。

ツナは複雑な思いの中、運動場の真ん中で何かを話しているあげはたちを見つめた。


***


ツナが三人を心配そうに見守っている頃。


『まだ来ないね。ナントカファミリー』

「何だよナントカファミリーって。マルチーズファミリーってリボーンが言ってただろ」

「いや、ナルシストファミリーじゃなかったか?」

『同じようなモンじゃん。で、結局正解は何だっけ?』

「「さあ?」」


答え:ナルチーゾファミリー

ツナの心配をよそに今回のマフィアの名前を考えているあげはたち。
しかしこの様子では正しい名前は出てきそうにない。

まるで緊張感のない会話だが、三人の腰にはそれぞれ武器があった。
あげははヴァリアー戦の時に使った木刀と同じくヴァリアー戦の時にリボーンから(無理やり)渡された真剣。もちろん刀の方は使うつもりはないが。
銀時はあげはと同じく木刀。彼はこの世界に来たときに持っていた刀を持つことはしなかった。
高杉は刀。この世界に来たときに持っていた鍔のない刀だ。

三人はわいわいと騒ぎながらも、しっかりと気配には気を配っていた。


『……来た』

「やっとかよ。銀さん待ちくたびれたわー」

「ククッ、いっちょ派手にいこうじゃねェか」


並中の入り口。そこには数十人の黒服の男たちが立っていた。
明らかに通りすがりではなさそうだ。

あげはたちはそれぞれ腰の得物に手をかけた。

向こうも自分たちの存在に気付いたのだろう。
警戒を強めるように並中のグランド内へと入ってくる。
そこで一人の男が口を開いた。


「貴様らはボンゴレファミリーか?」


その問いにあげははニッと笑ってみせた。


『その通り。あたしはボンゴレが10代目闇の守護者、紅藤あげは。ちなみにこっちは天パと厨二病』

「ねえ、俺らの紹介雑くね?なんだよ天パって!」

「誰が厨二病だ」

『いや、わかりやすいかなーと』

「誰もそんなこと求めてねーよ!!」


やはり緊張感のない三人。
相手はそれに怪訝な顔をして、もう一度問うた。


「貴様が闇の守護者か。ならば10代目はどこにいる」

『さあ?自分ちじゃない?』


ツナたちがこっそり見ていることを知らないあげははそう答えた。
そして、続ける。


『まあたとえ知ってたとしてもツナたちに会える、なんてことはないけどね』

「そーそー。大将に会いたきゃその部下を倒してからにしろよ」

「てめぇらごときが俺たちに勝てるとは思えねーけどなァ」


それぞれ挑発してくる三人に、ナルチーゾファミリーは戦闘態勢にはいった。
たかだか中学生にバカにされ、自分たちはコイツらに勝てるわけがないとでも思うだろうか。いや、思わない。

ナルチーゾファミリーがそう思ったのこそ、間違いだった。
彼らは自分たちの選択を誤ったのだ。ここで大人しく引いていけばよかったのに。




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