「あげはー何やってるアルか」
そう言ってパタパタと台所にやって来たのは神楽だった。
『んーまあ、今日バレンタインだし?』
「ああ、だから銀ちゃんあんなにそわそわしてるアルな」
『は?』
神楽に言われて、台所から顔を出してリビングの方を見る。
そこでは銀時がソファーに座ったり、立ち上がって歩き回ったりと確かにそわそわしていた。
……あ、目ェ合った。と思ったらそらした。
何なんだあいつは。
動き回っている銀時に呆れながらも、作業を再開する。
「あげはは銀ちゃんにチョコあげるアル?」
『うん。でもあそこまで露骨にそわそわしてるといじめたくなるよね』
にやりと笑ったあたしを見て、神楽が銀ちゃんドンマイアル!とか言っていたのは気にしないことにしよう。
――――…
『新八ー、神楽ー。はい、チョコ』
「え!?チョコくれるんですか!?ありがとうございますあげはさん!!」
「きゃっほー!!ありがとうネ、あげは!!」
『どういたしまして。ちなみに新八はホワイトデー三倍返しな』
「それがねらいかァァァアア!!」
「おーい…」
三人で騒いでいれば銀時が遠慮がちに話しかけてきた。
『何?』
「え、いや、俺のはねーのかなーって…」
『ああ、ない』
「え……」
『じゃ、あたし小太郎のとこ行って来るから』
じゃーねー、と手を振って玄関の方に歩いて行く。
チラッと見えた銀時の顔に満足しながら。
――――…
『ただいまー』
「あ!あげはさん、おかえりなさい」
『銀時いる?』
そう問いかけると、新八は顔を曇らす。
「銀さんはあの後ふらふらと出かけていきました」
『あー…』
「ホントにチョコ用意してないんですか!?」
『いんや、あるよ』
「はい!?」
新八が、どーゆーことですか!?と詰め寄って来るのに苦笑いしながら、落ち着かせる。
新八を落ち着かせた後、あたしはアハハと笑いながら事情を説明した。
『だってさー、あんなに楽しみにされたらいじめたくなるじゃん』
「どんだけドSゥゥゥ!?」
『大丈夫、あとでちゃんと渡すから』
銀さんがかわいそうだ、と呟く新八に神楽を連れて行くように言う。
二人が出ていったのを確認してから、ソファーに座って銀時を待った。
――――…
しばらくすると、ガララ…と玄関の開く音が聞こえた。
帰って来たかな。
あたしはリビングに銀時が入って来たのをを確認してから、おかえりと言った。
しかし返事は返って来ない。
あろうことか銀時はあたしを無視して寝室に入ろうとする、のを足払いで止めた。
「おわっ!!」
あたしに足払いされた銀時は盛大に転んだ。
『何無視して部屋に行こうとしてんのさ』
「別にいいだろ」
起き上がった銀時に睨まれた。
ちょっとやりすぎたか。
「どーせ、俺にはチョコ『あるよ』………は?」
銀時の言葉を遮ってチョコがあることを伝えれば、銀時は口を開けたまま固まった。
『はい、チョコ』
「…だって、俺にはないって……」
『あれ嘘だし』
「はあ!?嘘ォォォ!?」
驚く銀時にあたしはどうしてこういうことになったのかを全部話した。
真実を知って落ち込む銀時。
それを見て笑うあたし。
笑い続けていたら、銀時が突然顔を上げた。
「じゃあ、俺のこと嫌いになったわけじゃねーんだな?」
『ハハ、あんたを嫌いになるとかありえないから……!?』
あたしがそう言って銀時を見た時には、もう銀時の顔が目の前にあった。
銀時はあたしに触れるだけのキスをして、笑った。
「チョコありがとな」
『どーいたしまして』
ビターオアスイート
(ホントにヅラにチョコあげたのか?)
(うん。あと晋助と辰馬にも送った)
(マジで?)
title:水葬
そう言ってパタパタと台所にやって来たのは神楽だった。
『んーまあ、今日バレンタインだし?』
「ああ、だから銀ちゃんあんなにそわそわしてるアルな」
『は?』
神楽に言われて、台所から顔を出してリビングの方を見る。
そこでは銀時がソファーに座ったり、立ち上がって歩き回ったりと確かにそわそわしていた。
……あ、目ェ合った。と思ったらそらした。
何なんだあいつは。
動き回っている銀時に呆れながらも、作業を再開する。
「あげはは銀ちゃんにチョコあげるアル?」
『うん。でもあそこまで露骨にそわそわしてるといじめたくなるよね』
にやりと笑ったあたしを見て、神楽が銀ちゃんドンマイアル!とか言っていたのは気にしないことにしよう。
――――…
『新八ー、神楽ー。はい、チョコ』
「え!?チョコくれるんですか!?ありがとうございますあげはさん!!」
「きゃっほー!!ありがとうネ、あげは!!」
『どういたしまして。ちなみに新八はホワイトデー三倍返しな』
「それがねらいかァァァアア!!」
「おーい…」
三人で騒いでいれば銀時が遠慮がちに話しかけてきた。
『何?』
「え、いや、俺のはねーのかなーって…」
『ああ、ない』
「え……」
『じゃ、あたし小太郎のとこ行って来るから』
じゃーねー、と手を振って玄関の方に歩いて行く。
チラッと見えた銀時の顔に満足しながら。
――――…
『ただいまー』
「あ!あげはさん、おかえりなさい」
『銀時いる?』
そう問いかけると、新八は顔を曇らす。
「銀さんはあの後ふらふらと出かけていきました」
『あー…』
「ホントにチョコ用意してないんですか!?」
『いんや、あるよ』
「はい!?」
新八が、どーゆーことですか!?と詰め寄って来るのに苦笑いしながら、落ち着かせる。
新八を落ち着かせた後、あたしはアハハと笑いながら事情を説明した。
『だってさー、あんなに楽しみにされたらいじめたくなるじゃん』
「どんだけドSゥゥゥ!?」
『大丈夫、あとでちゃんと渡すから』
銀さんがかわいそうだ、と呟く新八に神楽を連れて行くように言う。
二人が出ていったのを確認してから、ソファーに座って銀時を待った。
――――…
しばらくすると、ガララ…と玄関の開く音が聞こえた。
帰って来たかな。
あたしはリビングに銀時が入って来たのをを確認してから、おかえりと言った。
しかし返事は返って来ない。
あろうことか銀時はあたしを無視して寝室に入ろうとする、のを足払いで止めた。
「おわっ!!」
あたしに足払いされた銀時は盛大に転んだ。
『何無視して部屋に行こうとしてんのさ』
「別にいいだろ」
起き上がった銀時に睨まれた。
ちょっとやりすぎたか。
「どーせ、俺にはチョコ『あるよ』………は?」
銀時の言葉を遮ってチョコがあることを伝えれば、銀時は口を開けたまま固まった。
『はい、チョコ』
「…だって、俺にはないって……」
『あれ嘘だし』
「はあ!?嘘ォォォ!?」
驚く銀時にあたしはどうしてこういうことになったのかを全部話した。
真実を知って落ち込む銀時。
それを見て笑うあたし。
笑い続けていたら、銀時が突然顔を上げた。
「じゃあ、俺のこと嫌いになったわけじゃねーんだな?」
『ハハ、あんたを嫌いになるとかありえないから……!?』
あたしがそう言って銀時を見た時には、もう銀時の顔が目の前にあった。
銀時はあたしに触れるだけのキスをして、笑った。
「チョコありがとな」
『どーいたしまして』
ビターオアスイート
(ホントにヅラにチョコあげたのか?)
(うん。あと晋助と辰馬にも送った)
(マジで?)
title:水葬