『むーん…』




私は今悩んでいる。とてつもなく悩んでいる。
何せ明日は副長の誕生日。
何を渡そうと一週間前から悩んでいるのだ。




『藁人形だと沖田隊長とかぶるし、マヨは他の隊士とかぶるし…』




ああ、どうしたものか。




「おい、紅藤、」


『あー、どーしよぉぉぉ』


「おい、」


『悩むわー』


「おい…」


『クソ、死ねよ副長』


「聞こえてんだろてめぇ。無視してんじゃねェ!!」




私の後ろには副長がいた。
なんだよ、忙しいのに。あんたのために私は一週間も悩みっぱなしなんだよ!!




『ッチ…で、なんか用ですか?』


「舌打ちしたろ今」


『してませんよ。私は忙しいんですから早く要件言えよ』


「タメ口かよ…ったく。…総悟知らねーか?」


『沖田隊長?ああ、それならたった今LINEでここの団子やべぇって言ってましたけど?』


「あのヤロー…」


『あ、ちなみに私もそこに向かうんで。じゃ』


「させるかァァァ!!」




副長に向かって手を上げたら、腕を掴まれた。
そして渡されたのは書類の山。ほぼ沖田隊長が壊したものの始末書だ。
何故私に渡す。




「てめぇが副長補佐だからだろ」


『わー不愉快』


「いいからさっさとやれ!!」




副長は私に怒鳴った後、自室へと戻って行った。
おそらくこの始末書の量は副長の分の半分もないんだろうな。あの人目にうっすら隈があったし。




『少しは休めばいいのに…………あ、そうだ』




プレゼント思いついたかも。
私はさっそく局長のところに行ってから、屯所を出ていった。


…え?始末書?後で頑張るよ…多分。




***




そして迎えた副長の誕生日当日。
私たち真選組はいろいろと忙しいので、盛大に誕生日パーチーとはいかないが酒を飲むくらいはある。所謂無礼講ってやつだ。


私は宴会が始まる前にプレゼントを渡そうと、副長の部屋を訪れていた。




『ふっくちょー』


「あ?なんだよ、紅藤。始末書終わったのか?」


『………そんなことよりももっといいモノが』


「終わってねェのか」


『まま、いーじゃないですか。それよりホラ』




私はそう言って副長に封筒を渡す。




「なんだこりゃあ…」


『誕生日おめでとーございまーす』


「…誕生日を祝われる歳でもねェけどな」


『息抜きですよ、息抜き。局長にも許可は取ってあるんで。じゃ、あとは広間で待ってまーす!』




私は副長の返事を聞かず、皆が準備し終えたであろう広間まで走って行った。




***




「(プレゼント、つっても…)」




あいつからのプレゼントでろくなものもらったことなんてないんだが…。総悟と負けず劣らず、あいつも変なものばかり贈ってきやがるからな。
俺はさきほどもらった紅藤の封筒を開けて、中身を見る。
入っていたのは一枚の紙きれ。




「嫌がらせか、あいつ…」






貴方だけに贈る××
("ケーキバイキング無料券 2名様")
(誘ってくれるの待ってますよ、副長)





――――
土方さん誕生日おめでとう!!



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