※仲良し攘夷




「あげはー」


『何ー?』




銀時の声に読んでいたジャンプを置いて顔を上げる。




「ん」




差し出されたそれは綺麗にラッピングされたクッキーだった。
ホワイトデーだろ、今日。
少し照れたようにはにかむ銀時からあたしは笑ってそれを受け取る。




『銀時、ありがと』


「おう」




ピンポーン
あたしがお礼を言ったのとほぼ同時に玄関のチャイムが鳴る。
今日は新八と神楽はお妙の家にお泊りだ。
じゃあいったい誰だ?
そんなことを考えるより早く、どたどたとこっちに向かってくる音。




「あげは!今日はホワイトデーだぞ!!」


「お菓子をこじゃんとこうてきたきに!!」


「茶ァ出せ、茶」




入って来たのは小太郎、辰馬、晋助だった。




「……お前らなんでここにいんの?」




特にそこのテロリストども、と銀時が小太郎と晋助の方を見た。
二人は特に気にする様子もなく万事屋のソファーに座り、すでにくつろぎモードだ。それにならって辰馬も腰を下ろした。
どうやら出ていく気は毛頭ないらしい。
あたしたちも顔を見合わせてため息を吐いた後、同じように座った。




『…で、何くれんの?』


「ああ、そうだった。これだこれ」




小太郎が出したのはカラフルなマシュマロの詰め合わせ。




「ほらよ」




晋助が出したのは酒。しかも結構高級なもの。




「わしからはこれじゃあ!!」




辰馬が出したのはたくさんのチョコやら何やら甘いもの。
あたしは三人のくれたものを見て、おお…と感嘆の声を漏らした。




「なんつーか見事に甘いモンばっかだな」


『うん、でもうれしい』


「太るぞ」


『黙れ天パ』




「まあまあ、ほれ高杉が持ってきた酒で乾杯じゃ!!」




辰馬がいつの間にか持ってきたグラスに酒を注ぐ。
それを受け取って、自分の前に持ち上げる。
それでは、乾杯!!
銀時の声であたしたちはグラスを鳴らした。


――――…



『んー…』



ふと目が覚めた。どうやら酒を飲んで一通り騒いだ後、全員でそのまま眠ってしまったらしい。
すやすやと眠る彼らを見て、押入れから毛布を取り出してそっとかける。
四人とも起きる気配はなかった。




『(今日は楽しかったなー)』




まさかこのためだけに来てくれるとは思わなかった。
少なくとも内二人は指名手配犯。容易にここにこられるはずはないだろうに。
……いや、小太郎は結構な頻度で来てるか。
それでもこうして五人で集まり、酒を飲んで騒ぐのは久しぶりだった。
だから、




『今日は本当にありがとう』




すごくうれしかったんだよ?


あたしは寝ている四人を起こさない程度にお礼を言って、再び眠りについた。






光に満ちる場所
(それはいつだって)
(あたしの傍に)



title:秋桜-コスモス-



back
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -