さわやかな朝に猛烈なスピードで走る自転車が四台。


『あ、急げ銀時。あと二分で遅刻ー』

「んなことわかってんだよ!!テメエは呑気でいいなコノヤロー!!」

「しゃべっている暇があるなら足を動かせ馬鹿者!!」

「なんで全員の目覚まし時計が壊れてんだよ!!」

「ある意味奇跡ぜよアハハハ」


あたしたちが現在こうなったことにはちゃんと理由がある。

回想――――…

朝、あたしが目覚めると針が6時を指す時計が目に入った。
なんだー、まだ余裕じゃんとか思った自分を殺したい。その時計は6時20分で止まっていたのだ。
そんなことに気付かず二度寝しようとしたところに小太郎の声が家中に響き渡った。なんだ?と部屋を出たところで廊下にあった時計が目に入り、この状況に気付いた。
時間は6時ではなく、8時30分だったのだ。

あたしたちの家から学校までチャリでおよそ15分。
学校が始まるのは8時30分。

はい、遅刻決定ー。
笑うしかなかった。

***

と、まあこんなことがあったのだが、銀時たちは諦め悪くチャリをこいでいる。
あたしはいつも通り銀時の後ろに乗って時計を眺めていた。


「っ見えた校門!!」

「おい、もう門を閉めようとしてやがる!!」


晋助の言葉に四人がさらにスピードを上げた。
校門が閉められる少し手前。あたしたちはギリギリで門を通過したのだった。

自転車を指定の位置に置いてもう一度時計を見る。
現在8時40分。いつもより時間は短縮できたのだがどちらにせよ遅刻だ。

あたしたちは諦めつつも自分たちの教室まで歩いて行く。そして教室の前まで来ると五人で輪になりしゃがんだ。


「なあ、これからどうするよ」

「もうSHRは始まっているだろうな」

「そして先生は俺たちがいないことに気付いてるにちがいねェ」

「いっそのことSHRが終わって一限が始まる前に入ればええき」

『辰馬のくせにいいこと言うね。辰馬(馬鹿)のくせに』

「ひどいぜよあげは!!」


そう言って声を上げる辰馬。黙れの意味を込めて四人でそのもじゃもじゃの頭を叩いた。


「…だが確かに坂本の意見が妥当だろう」

「んじゃその作戦で行くからSHR終わるまで屋上行ってよーぜ」


銀時の言葉であたしたちは全員立ち上がった。


「銀時、晋助、小太郎、辰馬、あげは。SHRにも出ないでどこに行くつもりですか?」

『「「「「…………」」」」』


ふいに後ろからかかった声にあたしたちが固まったのは言うまでもない。




どうやら作戦は失敗のようです
(しょ、松陽先生ェェェエエエ!!)


 

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