大丈夫だよ、なんて


「まず僕たち黒の教団のことや伯爵のことは理解してるかい?」

『神田から一通りは聞いたよ』


ここに来るまでの道中、神田から黒の教団のこと、イノセンスのこと、千年伯爵やAKUMAのことなど、ここに来る上での必要最低限のことは教えてもらっていた。
聞いた時にはめんどくさそうに舌打ちされたけど。

だから今世界が終焉へと向かっていることも、AKUMAが倒せるのはイノセンスが扱えるエクソシストだけだということも知った上での感想はというと。


『とりあえずめんどくさい。逃げたい』

「何て!?」

『いやだってさ、いきなりそんなこと言われても…ねえ?』

「ねえ?って言われても…ねえ?」

「俺に話を振らんで下さいよ」


コムイに話を振られたリーバーさんは呆れ顔だ。


「そりゃこんなところにいきなり連れてきちゃって僕らも悪いとは思っているんだ…」


そう言ったコムイの顔は憂いを帯びていた。
きっとこれからのあたしのことを思ってだろう。神田の話からするにこの場所ではきっと多くの人が死んでいくから。


『コムイは優しいねー。ね、神田』

「…………」

『……無言でこっち見られても』


神田は確かに無言だったが明らかに顔は、は?何言ってんだコイツって顔してた。
あたしは素直に思ったことを口にしただけなのに…。


「…お前が、」

『ん?』

「お前がイノセンスの気配がわかるって知って、ここに連れてくるよう指示したのはコムイだがな」

『そうなの?じゃあコムイ一発殴る』

「ちょ、」

『なーんて。冗談だよ……10パーくらい』

「ほぼ本気じゃないか!」


コムイの表情からしてここに来るよう言ったのはこの人なんだとなんとなくわかっていた。それを別に責める気はない。めんどくさいのは確かだけど。
それに、あの場所で平和に過ごすのはなんだか気が引けた。
あたしにはちょっとくらい命が危険にさらされるくらいがちょうどいいのだ。


『ま、死ぬつもりなんかさらさらないけどね』


気にするな。そんな意味を込めてコムイとリーバーさんに向かって、ニッと笑ってみせた。




大丈夫だよ、なんて
(人間やろうと思えば何だってやれるんだよ、うん)
(室長、あげはが明後日の方を向いてます)
((どうしよう、この子に不安しか感じないんだけど…))



prev next

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -