不完全リジェクション | ナノ



学校に着くとあたしたちはまず職員室というところに向かった。


『職員室って教師がいっぱいいるところだったよね?』

「ああそうだ。俺たちはそこに行って担任に挨拶をしなければならないらしい」

『へー』


しばらく廊下を歩いていると、職員室と書かれたプレートが見えた。


「ここぜよ」

「開けんぞ」


晋助が勢いよくドアを開ける。当然中の人たち全員の注目を浴びるわけで。


『視線が痛いよ銀時ー』

「高杉に言えよ」


ちなみに当の本人は何食わぬ顔で職員室に入っていった。それに続きあたしたちも入る。
するとあたしたちの担任らしき人が話しかけてきた。

説明を受けていたところ、先生が思い出したように呟く。


「そういえば、坂本君は3年だからあっちだよ」

「え……」

「他の四人は2‐Aだからこっちね」


辰馬はあたしたちより一つ年上なためクラス、っていうか学年が違うとのこと。
別の先生に連れて行かれる辰馬がこっちを見ていた。


『じゃあね辰馬』

「ドンマイ辰馬」

「いい気味だ坂本」

「がんばれ坂本」

「アハハハハ……泣いていい?」


行ってしまった辰馬を見送ってあたしたちも担任についていく。
A組と言えば10代目のクラスだったはず。ということは9代目が同じクラスになるよう仕組んだのかな?

先生がA組のドアの前で止まる。


「じゃあ呼んだら入って来いよ」


先生はそう言って教室に入っていった。
中で先生が話しているのを聞きながら、あたしたちはただ何もせずに立っている。
しばらくして入って来いという先生の声が聞こえてきた。


『銀時。入って来いだって。逝きなよ』

「漢字が変換ミスゥゥゥ!!ヅラ!おめーが行け!!」

「ヅラじゃない桂だ!高杉が行けばいいだろう!」

「フザけんな。あげはが行きゃあいいだろうが」


一番最初には入りたくない。
あたしたちの心は一つだった。

なかなか入って来ないあたしたちをもう一度先生が呼ぶ。
その間も、お前が行け。いやお前が。という押し問答をするあたしたち。ついには軽い取っ組み合いに発展した。


「だーかーらっ!テメェらが先に行け………って、げ」

『「「!?」」』


銀時がバランスを崩してこちらに倒れてきた。ドミノ倒しの如く倒れるあたしたち。
そしてタイミングの悪いことに痺れを切らした先生がドアを開けた。
案の定教室になだれ込むあたしたち。しーん…と静まりかえる教室。


『「「「………」」」』


お願いだから誰かしゃべってェェェエエ!!
さっきまで転校生がどうとか騒いでたじゃん!!イケメンかなとか美人かなとか盛り上がってたじゃん!!
そんなノリでいいから誰かしゃべってお願いします!!


「桂小太郎だ。よろしく頼む」

『お前がしゃべんのかよ!!』


確かに誰かとは言ったけどお前かよ!!この空気の中よく自己紹介したなお前ェェェ!!


「仕方ねー。ヅラに続くぞ。坂田銀時でーす」

「チッ…高杉晋助」

『結局あんたらもすんのかよ。…えー紅藤あげは。よろしく』


その数秒後ようやく周りから拍手が起こり、自己紹介はなんとか果たせたのでした。
………第一印象最悪じゃねコレ?






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