ざあざあと雨が降り注ぐ
周りは死体、死体、死体
昨日まで笑ってた奴も、泣いてた奴もただ冷たくなって横たわる

ああ、また護れなかった…
ここで立ち止まっている暇なんてないのに
それでも縫い付けられてしまったかのようにここから動けない

いつもならあいつがいるから大丈夫なのに
いつもは隣にいるのに
それなのにもうどこを捜してもいないの


『銀時…』


どこ行ったの?
あたしを一人にしないでよ
もう一人は…



――――…


目を開けると見慣れない天井が広がっていた。


『あれ…』

「気付いたか?」


痛む背中に気を遣いながら体を起こして横を見ると銀時がいた。
途端にさっきまでの夢を思い出す。


『銀、時…』

「ん、どうした?」

『あたしを…一人にしないで。もう一人は…嫌だ…!』


俯いて手を握りしめる。
するとふわり、温かさがあたしを包んだ。
ああ…今銀時の腕の中にいるのか。
たったそれだけ、それだけなのに今までの不安は自然と消えていった。


「一人になんてしねーよ。約束したじゃねーか」

『…うん』

「おーい、そろそろいいかお二人さーん」

『「………」』


声の主は小太郎だった。


『……あんたいつからいたの』

「貴様が目覚めた時からすでにいたが?」


…てことは今の全部見られてんじゃん!!改めて思い起こしてみると相当恥ずかしいよねコレ!!
そもそも何でこんなことになってるんだっけ!?
そこで新八と神楽のことを思い出す。


『あ…二人は!?』

「さっきまでその話をしていたところだ。…宇宙海賊"春雨"、銀河系で最大の規模をほこる犯罪シンジケート。それが貴様らが相手にしたやつらだ」

『春雨、ね…』


その名前は少しだけ聞いたことがある。あの女厄介なモンに手ェ出しやがって。

あたしたちは立ち上がる。小太郎に止められたが、あの二人が拉致られたんだ。黙ってみているわけにはいかない。


「"人の一生は重き荷を負うて遠き道を往くが如し"…昔なァ徳川田信秀というオッさんが言った言葉でな…」

『それをいうなら豊田川秀康じゃない?』

「誰だそのミックス大名!家康公だ家康公!」

「最初にきいた時は何を辛気くせーことをなんて思ったが、なかなかどーして年寄りの言うこたァバカにできねーな…」


あたしと小太郎は銀時の話を黙って聞く。


「―――…荷物(あいつら)がいねーと歩いててもあんま面白くなくなっちまったからよォ」

『…あたしもだよ』

「仕方あるまい。お前らには池田屋での借りがあるからな。ゆくぞ」


小太郎があたしたちの隣に立つ。


「片腕では荷物などもてまいよ。今から俺がお前の左腕だ」

『まあぶっちゃけあたしは銀時に怪我負わせた奴をぶっ殺せればそれでいい』

「あげはー目がマジだぞ?」

「(よもやそっちが本当の理由じゃあるまいな…?)」



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