練習
「…おい!エロコック!」
「ああ?んだよ、まり、も……おま、どうしたんだッ…?!」
「テメェのせいだ…!!」
夜、もうゾロが酒を強請りにくる。そう思っていたら、いつものゾロじゃない、やけに興奮というか、発情した獣がやってきた。
その淫らな空気に思わず煙草を落としかけた。
…だって、このエロさはねぇだろ!
普段から変に色気のある奴だが、今はもう全身からその性的な雰囲気がブワリと出されまくっている。
乱れた呼吸、すぐにでも涙がこぼれそうな目、赤く染まった顔と首筋…
乱れた衣服の前からはそれよりも赤くなっている胸の突起が見えていて…
ゴクリ、と思わず生唾を呑み込んでしまう。変なクスリでも飲んだのかこいつ。
「…ど、どうしたんだ?」
「どうしたもこうしたもねぇっ!…昨日から、俺、変になっちまったんだ…!!」
「昨日からって…まさか…」
「きっと、後ろだけでイったせいだ……!どうしてくれんだテメェ!!」
「あ、えと…ゴメン…?」
そう、昨日遂に(?)ゾロは所謂、トコロテンをしたのである。
俺らが付き合って、体の関係も出来てから大分経ったのでゾロの身体もかなり開発されてきた。そろそろかなぁとは思っていたはいたが、その達したときのエロさと感動はとてもじゃないが言葉に表せない。
その夜からどうやらゾロの身体はおかしくなってしまったらしい。
「謝ってすむなら海軍はいらねぇんだよ!!」
「なんだそのガキみてえな言い方!せっかく俺が謝ったのに!つーか海賊が海軍に頼ろうとしてんじゃねぇよ!」
「朝からずっとフラフラするし、昨日のことのせいだと思い出したらそれだけでイきそうになるし、出せば落ち着くと思って自分でシテも全然イけねぇし、収まるどころか…
「わーわー!!もう、もういい!わかった!俺が悪かった!!」
「だから謝りゃ済むことじゃねぇんだよふざけんな!」
「じゃあどうしろってんだよ!!」
「…く、責任とれ!」
「どうとりゃいいんだ!!!」
赤裸々に今日の自分の様子を語るゾロにこっちが赤面してしまう。
自分で言いながらまた思い出したらしいゾロは1人で「…んぅ……ふ、」とかホントにイく寸前の顔してる。
マジかよ…こんなになるのかよ!
確かに、トコロテンを初めてした後は暫くホルモンバランスが崩れて体調不調になることもあると聞いたが…
ここまでなのか…
朝から男部屋のソファで蹲っていたから
風邪を引いたのかと心配になった。
「大丈夫か?」と尋ねたら「問題ねぇから…1人にさせてくれ」と明らかに問題ありそうに返され、更に丸くなってしまったのだ。
こりゃヤバいと、チョッパーを呼んでこようとしたが本人が辞めろと必死に止めたので仕方なく、本当に仕方なく部屋から出た。
昼からは甲板でぐーすか寝ていたから治ったのかとホッとしたんだが…どうやら治ってはいなかったようだ。
いや、過去より今だ。
この状況はかなりマズい。非常にマズい。
昨日はゾロがそれほどになってしまうくらいに激しかった。だから今日は2人で静かに晩酌でもしようと思ってたのに…こんな艶っぽさ全開のゾロを見たら俺だって興奮してしまう。
今すぐゾロを押し倒してドロドロにしてしまいたいけど、んな無茶できない。
まさに欲望と理性の間で俺はジレンマに陥っている。
「…おい、コック」
「な、なんだ」
「責任、とりやがれ…」
「いや、だからどう…アダッ!テメッ、何すんだ!」
「ん…んん…」
「………ってオイ!?人のこと押し倒しといて1人でおっ始めるなよ!」
「うるせ……ふ、…お前、ちょっと黙ってろ…」
黙ってろ…ってこんな状況で黙ってられるかー!
好きな人に押し倒しされて、上に乗っかられた状態で自分で後ろ解してるのも何もしない野郎がいるか!!
「あ、あぁぁ…さ、んじぃ……」
「……舐めやがってクソまりもが…!」
挙句、滅多に呼ばれない名前を呼ばれながら喘がれて理性が吹っ飛ばないアホなんぞ…
「いるわけねぇだろぉぉ!!!」
「ヒッ!?な、にすん、う、あぁぁあぁ!?」
ゾロの腕を掴んで後ろに入っていた指を引っこ抜く。それからグルンと形勢を逆転させて、俺の指でゾロの後ろを解す。
中は燃えるくらいに熱くなっていて、ギチギチと千切れるくらい指を締めていた。
「あっ、あぁぁ、さん、サンジ…やめ…」
「ちょっと待ってろゾロ…あと少しでイかせてやる……」
さっきまでのゾロへの気遣いなんてどこかに吹っ飛んだ。
優しくしようとか、ゆったりとしたスローセックスにしようとかそんな余裕も消え去った。
獣みてえに、ただ、ゾロが欲しい。今すぐゾロと1つになりたい。
興奮だけが俺の中を埋め尽くす。
「ゾロッ……ゾロ…」
「さっ、じ…も、いいから…はやッ…ぁ、ぁぁあぁあっ…!!」
「ぐ、ゾロッ、気持ち、いいかっ…?」
「あッ、あぁ、…も、イく……!」
ゾロからGOサインが出てしまえば、俺は本当に獣へと化してしまう。
すぐさまゾロの身体に入り込んで、ゾロの痴態にうっとりしながら、その身体中に愛撫する。
いやらしい水音と、肉と肉がぶつかり合う乾いた音と、2人の荒い息でキッチンが充満していく。
ゾロは俺が入ってきた途端に頂きに達したから、いつもは挿れてからは当分来ない意識が飛ぶほどの締め付けが一瞬でやって来た。
ヤベェ…すげぇ気持ちいい…
今までも充分すぎるぐらいに気持ち良かったのに、今日はその更に上の領域に踏み込んでしまったようだ。
俺もクスリを飲んでしまったみたいに気持ちいい。
「あぁぁっ、さ、サンジぃッ…とま、んないィ…!う、ぁぁああ…!」
「ゾロ、ゾロ……俺も止まんねぇ…!ゾロッ……!!」
ゾロはまさにイきっぱなしの状態で全身を痙攣させている。
俺も痛いぐらいの締め付けに酔ったみたいに腰を振り続ける。
「ふ、あぁっ、サンジッ…サンジ…!」
「ん…?…どしたゾロ…」
「…ひぐっ、…こわ、怖いッ……!」
「…こわ、い?」
「も、こんなのッ…あぅっ、知らねェっ……!」
「…ゾロ、大丈夫、大丈夫だ…」
「…んぅ、ふ……ん…」
きっと、先の見えない気持ちよさとここまで乱れた自分に不安になったんだろう、ボロボロとゾロの赤い瞳から大粒の涙が零れ出る。
普段なら「怖い」なんて言葉こいつの辞書には無いんだろう。けど、トリガーの外れてしまった今では俺に子供みたいに怖いと言いながら縋りついてくる。
それを安心させるためにギュっと抱きしめながらキスをしてやる。
ああ…このギャップがたまんねぇんだよ……
いつもはムスっと厳つい顔してんのに、ここまで蕩けちまうんだぜ?
可愛くて仕方がない。
「は、ゾロ…」
「ふぁ……サンジ……」
もう1度、さっきよりも熱いキスをする。
まだまだ夜は終わらなさそうだ。