マリモはいつも苺味
ゾロは飴玉が好きだ。
特に、いちご味の飴玉が好きだ。
あいつの瞳と同じ赤色をいつも口の中で転がしている。
「おはよ、ゾロ」
「はよ」
朝登校して来た時からもうあの甘いいちごの匂いがする。
からり、ころりと転がす音が聞こえてくる。
「ゾロ、それ、俺にもちょーだい」
「あ?この飴か?」
「うん」
べ、と赤い舌を出してその舌と同じくらい赤い飴玉を見せる。どっちもすごく赤くてすごく綺麗。
ああ、その舌に乗ってる飴玉が欲しいなぁ。なんて思ったけど、一応ここは教室だからその言葉をグッと呑み込む。
「ん…ほれ、」
「お、サンキュ」
「珍しいな、お前がこれ欲しがるなんて」
「まあ…ちょっと口寂しくてさ」
「ふーん…」
口寂しいのは事実だ。
高校生ながらヘビースモーカーの俺にとって煙草が吸えないのはかなりキツい。
それと、これを舐めればゾロの味がするかなと思ったから。
「…美味いな」
「だろ?」
お前もこれみたいに甘くて美味いのかな?